50代以下の公務員こそ老後が結構心配な理由 安定神話は過去の話、しっかりお金の計画を
また、定期年金は、本人が早く亡くなった場合、遺族一時金として支払われますが、終身年金部分はその時点でストップします。遺族年金は、厚生年金部分から計算されます。以前の職域部分も遺族年金にプラスされる共済年金の方より、もらえる額は少なくなる計算です。
”逃げ切り世代”の先輩からの話だけで将来を考えると、資金不足になる可能性が高いのです。
現役のときは毎月決まった収入があるので、将来を不安に感じない方も多いようですが、60歳で退職し再雇用されない場合は、事前に簡単にシミュレーションしてみるとよいかもしれません。
佐藤さんのように国家公務員の方なら、国家公務員共済組合連合会KKRから「ねんきん定期便」が届いているはずです。50歳になってから送られてくる金額は、そのまま60歳まで働いた場合の計算で送られてきます。
1961年(昭和36年)4月2日以後に生まれた方は、公務員の場合、年金の受給は男女とも65歳からとなっています。1963年(昭和38年)生まれの佐藤さんも、65歳からの受け取りです。そのため、退職後の5年間は収入がなくなります。お子様の教育費は別に確保しているとのことでしたが、現在の生活費が毎月30万円ほどです。それだけでも、5年で1800万円が出ていく計算です。退職金は2300万円ほどの予定ですから、そこから生活費を差し引くと、500万円が残ります。
世界1周旅行はプランによって金額はさまざまですが、佐藤さんが予定しているのは、2人で約250万円だそうです。このように、5年間の生活費と世界旅行で、退職金のほとんどがなくなってしまうことになります。
そして、65歳からの年金額は、年間230万円ほどです。それに妻の国民年金78万円をプラスすると、308万円になります。毎月25.6万円が入ってくる計算です。佐藤さんは2人だけの生活なら、なんとかなりそうだと考えていました。もらえる年金の中から、旅行を楽しみたいと考えています。
財政悪化で、年金減額や支給開始先送りの懸念も
ただ、ねんきん定期便の金額は、見込み額です。今後、社会保障改革の中で、受給額の減額変更や支給開始年齢の先送りなど、予定外のことが起こりうる事態も十分考慮する必要があります。国の財政状況や少子高齢化を鑑みれば、当然、そうしたことも頭に入れておいたほうがいいでしょう。人生100年時代に向けての変化に注意を向けていきたいところです。
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