6人に1人!日本の「糖尿病の常識」は大間違い

合併症が減らない「日本の根本問題」とは何か

しかし、糖質の摂取比率が60%にもなるカロリー制限食では、治療効果が出ているとは到底いえません。速やかに食後血糖値が改善する糖質制限食を指導してもらえないことによる患者さんの不利益は、深刻なものがあります。いまだにカロリー制限だけを指導し続けるのは、もはや「犯罪的」ではないかとさえ考えています。

なぜなら、糖質制限食を導入したアメリカとの比較で、次にご説明するような結果が出てきているからです。

糖尿病合併症が減ったアメリカに比べ増加傾向の日本

糖尿病患者にとっていちばん恐ろしいのは、合併症です。糖尿病の三大合併症である腎症、網膜症、神経障害について、カロリー制限をすすめている現在の治療法では防ぐことができていません。

2013年に日本糖尿病学会が出した「熊本宣言」によると、糖尿病網膜症による失明は年間に3000人以上、糖尿病腎症による人工透析患者は年間に1万6000人以上、糖尿病足病変による下肢切断患者が年間に3000人以上となっています。これらの合併症が毎年新たに、発症し続けているわけで、アメリカと異なり日本では減少の兆しがありません。

また、1990年から2012年の糖尿病腎症からの新たな人工透析者の発生率は、0.21%から0.42%へと増加しているのです。

アメリカの場合と違い、日本における糖尿病治療食はこの22年間変わっておらず、糖質摂取比率60%のカロリー制限食であり、合併症の予防にまったく効果がないどころか、むしろ悪化させていた疑いさえあります。そして現在でも日本では、糖尿病患者の合併症は減っていないのです。

一方、アメリカでは、ほぼ同じ20年間で、糖尿病の合併症は激減しています。2014年4月17日の医学専門誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に発表された論文によると、急性心筋梗塞は67.8%の減少、高血糖による死亡は64.4%の減少、脳卒中は52.7%の減少、下肢切断は51.4%の減少、末期腎不全は28.3%の減少となっており、糖尿病による合併症が大幅に減っていることがわかります(*)。

(*)Gregg EW, Li Y, et al: Changes in diabetes-related complications in the United States, 1990-2010. N Engl J Med. Apr 17; 370(16): 1514-23, 2014.
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