6人に1人!日本の「糖尿病の常識」は大間違い 合併症が減らない「日本の根本問題」とは何か
現在のアメリカでは、平均摂取比率で糖質を50%くらい摂っていて、糖尿病が増加しています。糖尿病発症後には糖質の摂取比率を40%あるいはそれ以下に減らすように指導されます。
こうした流れは2013年以前から始まっており、たとえば、2005年刊行のジョスリン糖尿病学(英語版)では、炭水化物摂取比率は40%以下と記載しています。大幅な合併症の減少は、この糖質制限の結果ではないかと考えられるのです。
現実に、日米で糖尿病合併症の発生率が大きく違っているのは、食事の糖質量の違いに原因があると考えられるのです。なぜなら、7種類の糖尿病内服薬と2種類の注射薬は、日米でまったく同様に使用されているからです。
糖尿患者へのカロリー制限食指導はもはや「犯罪的」
それでも、いまだに糖質制限食は危険などとおっしゃる医師がいらっしゃいますが、こうした方には、これまでの東洋経済オンラインでの私の記事や著書を読んでいただきたいと思っております。私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」でも、目についた糖質制限批判に対しては逐一反論してきました。もはや最近は、あまり意味のある批判が出てこないというのが実感です。
合併症などのリスクがある糖尿病患者に、糖質60%にもなるカロリー制限食を指導するのは、先述のとおりもはや「犯罪的」な行為だと思っております。2004年からアメリカ糖尿病学会が正式に言明しているように、血糖値を上げる唯一の栄養素は「糖質」なのです(*)。
糖質だけが直接血糖値を上昇させ、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という最大の合併症リスクを生じます。そして、これらを起こさないのは唯一、糖質制限食だけなのです。
そもそも糖質は、人体にとって必須のものではありません。国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同じ意味)の理論的な最小必要量はゼロである」と明記されています(*)。
逆に脂肪は人体にとって必要なものです。脂肪を食べても、それがそのまま体脂肪になるわけではありませんし、不健康になるわけでもないのです(「『栄養』について知らない『栄養士』が多すぎる」)。
「糖尿病治療にはカロリー制限よりも糖質制限」という流れは、もはや変えようがないメガトレンドであることを、患者の皆さんも医療関係者もぜひ認識していただきたいと思っております。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら