ゴーゴーカレーが奄美大島に店を構える理由 創業者が語った「地方への思い」と「ココイチ」

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――国内のゴーゴーカレーの店舗を見渡すと、名古屋や大阪には進出していませんが、奄美大島に出店していますね。なぜですか?

奄美大島は地方創生枠という形で、ロイヤルティなしのフランチャイズでやっている。チェーン展開する飲食店では通常、コメなどの食材がすべて本部から卸され、その利益は本部に行ってしまう。だがゴーゴーカレーでは地方創生枠の店舗に本部が卸すのは、ルーのみ。奄美大島の店舗には「コメも肉もそこのものを使ってください」と言っている。看板とノウハウだけ出しますよと。

そういう過疎のところには、10代20代の人たちが行くような店がない。コンビニもやっとで、うどん屋とか定食屋、すし屋はそこそこあるけど、学生が行くところがない。そういう中でゴーゴーカレーが来ると、絶対にファンになる。

「今やらないと10年後はもっと大変」

13年前に地方創生枠の店舗として石川県輪島市にできた店舗は、商工会議所と民間が出資し合ってできた第3セクターがフランチャイジー(運営主体)だった。みんなで出資し合って、働く場所をつなぎとめたことで雇用を創出できた。当初は赤字も覚悟していたが、結果としてしっかりと利益を出すことができている。

若い客層から支持率が高い「メジャーカレー」。てんこ盛りのトッピングが売りだ(写真:ゴーゴーカレーグループ)

確かに奄美大島や輪島に出すことに経済的合理性はない。だが、今からやらないと10年後はもっと大変になる。今苦しいのは、10年前、20年前に何もやってこなかったから。地方を殺してはダメだ。地方にもいいものがたくさんあるし、それを残す手伝いをしていきたい。

――昨年は地盤の金沢市にあるインドカレー店「ホットハウス」を買収しました。

1980年創業のホットハウスは、創業者の五十嵐憲治氏が69歳と高齢になり営業を続けることが難しくなったが、後継者がいなかったため今回、ゴーゴーカレーがM&Aという形で伝統の味を引き継ぐことにした。

カレーもこの金沢カレーだけでなくインドカレーやタイカレーもあるから、幅を広げていきたい。周りを見たらそういうことを誰もやっていない。調べるとホットハウスのような後継者不在の店が実はあるとわかり、ここがわれわれの市場だと考えた。

今年は11月1日から12月5日には、人材サービスを行うビズリーチが運営する事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を利用してM&Aを募る。後継者が不在の店を念頭に置き、「自分の店を過小評価してM&Aを他人事だと思っているかもしれないが、お客様も承継を望んでいると思うので、ぜひ検討してほしい」と呼びかけているところだ。

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