「文化戦争」で分断を深めたトランプの行く先

「夜のアメリカ」で共和党をハイジャック

中間選挙では上院と下院と「まったく異なる2つのアメリカ」で選挙戦が展開された。トランプ大統領が前面に出て「文化戦争」を展開したことは、共和党にとって、上院では功を奏したものの、下院では裏目に出た。

トランプ大統領が展開した「文化戦争」は共和党支持基盤の選挙への関心を高める効果があった。上院選では2016年大統領選でトランプ大統領が勝利した州を中心に大統領の応援が共和党上院議員候補の勝利を後押しした模様だ。つまり、ミズーリ州やインディアナ州をはじめとするレッドステート(伝統的に共和党の強い州)ではより多くの共和党支持の有権者が投票所に足を運ぶことによって、現職の民主党上院議員を敗北に追い込んだ。一部専門家は、大統領は少なくとも上院での多数派を維持するために「文化戦争」を選挙戦で意図的に展開したとも指摘している。

一方、下院選では、多くの接戦選挙区は共和党支持者を含む穏健派が多数在住する郊外に位置していることからも、「文化戦争」は逆効果であったと考えられる。これらの選挙区で戦った共和党候補は、好調な経済を訴えたものの、トランプ大統領と自らを切り離すことは難しく、大統領の大きなメガホンで発信された「文化戦争」で経済メッセージは影が薄れてしまった。

選挙戦終盤ではポール・ライアン下院議長も、大統領に「キャラバン」ではなく「好調なアメリカ経済」に焦点をあてるよう懇願した。だが、大統領は共和党の支持基盤でもあるトランプ支持者が好む「文化戦争」の話題にこだわった。トランプ大統領が反移民政策などを訴えることで、これら下院の接戦選挙区で、共和党ではなく民主党への支持が拡大したと思われる。

反トランプを掲げた女性やマイノリティが躍進

反トランプ活動は2016年大統領選当日から始まった。ヒラリー・クリントン候補の勝利を確信していた若者を中心とした民主党支持者は選挙当日、ショックで涙を流し、翌日は仕事や学校を休む者も続出した。首都ワシントンでは大統領選から数カ月間、ほぼ毎週末、若者を中心に反トランプデモが展開された。そのエネルギーは2年後の中間選挙で民主党からの記録的な数の女性候補やマイノリティ候補の擁立につながったのである。

ワシントンの隣に位置するバージニア州第7選挙区で、現職のデーブ・ブラット共和党下院議員に挑んだアビゲイル・スパンバーガー民主党候補の勝利の背景には、反トランプに熱意を抱く郊外に住む大学卒の女性が多くいた。

バージニア州在住の筆者の友人は大統領選直後に創設された草の根団体「チェスター郡リベラル派女性(LWCC)」に参画した。同団体では中間選挙中、仲間とともに数千人もの有権者に手紙を発送したほか、有権者に電話や個別訪問(キャンバシング)を行い、スパンバーガー候補への支援を呼び掛けたという。民主党支持者の2年間の地道な活動が同氏のような民主党候補が共和党現職を破る結果につながった。スパンバーガー候補以外にも、主に民主党から女性の下院議員が100人近くの記録的な数で当選している。

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