日本で伝えられないアメリカ中西部の「苦悩」

トランプ選出したウィスコンシン州のその後

ウィスコンシン州シボイガン市は、ミルウォーキーから車で北へ1時間ほどのところにある(筆者撮影)

アメリカの中間選挙の投開票が現地時間11月6日(日本時間で7日)に迫った。任期2年のアメリカ連邦議会下院435議席すべて、同6年の上院議員の35議席が改選されるほか、州知事、州議会議員の選挙も一斉に行われる。2016年秋の大統領選での勝利以来、約2年間のトランプ政権に対する米国有権者の「審判」が下されるイベントとして、世界中が結果に注目している。

民主党地盤から「寝返った」ウィスコンシン州

選挙の予測は専門家に任せるとして、中間選挙をアメリカの「普通の人々」はどのように迎えようとしているのか。日本からはうかがい知れない現地の状況を一端でも垣間見られればと、10月末の1週間、筆者は中西部、ウィスコンシン州を訪ねた。

同州は歴史的に民主党支持層が厚いと言われていたものの、2年前の選挙ではトランプ氏がヒラリー・クリントン氏に1%以下という僅差ながら勝利し、結果的にトランプ大統領誕生を後押しする結果となった。その意外な展開に少なからず驚いた記憶があるからだ。

日本人にはあまりなじみのない州かもしれないが、五大湖に接し、アメリカの「心臓部」と言われる同州は、日本の半分ほどの面積があり、そこに600万人弱が住む。今回訪れたのは、ミシガン湖に面する州最大都市ミルウォーキー(人口59万人)と、そこから北に車で約1時間のところにあるシボイガン市(同5万人弱)、隣接するマニトワック市(同3万人強)とそこからほど近いマニトワック郡ヴァルダーズ村(同約900人)。さらに、ミルウォーキーから車で北西方向に約5時間の距離にあるオークレア市(同7万人)にも足を延ばした。

ミルウォーキーに到着したのは10月20日。偶然、その夜は大リーグのナショナルリーグで地元ブルワーズがホームグラウンドのミラー・パーク球場にロサンゼルス・ドジャーズを迎え、惜しくもドジャーズに惨敗してリーグ優勝を逃した日だった。

このブルワーズの名の由来となるビール醸造業に代表されるように、ミルウォーキーとその周辺は、五大湖の水資源や東海岸と水路でつながっているという地の利を生かし、農産物を加工するための食品加工、木製品、金属製品、農業・建設用などの機械といった製造業が主要産業として発展した。

ただ、その後は多くの企業が価格競争力を失って転廃業したり、国内他地域や海外へ工場拠点を移したりで、地元経済は産業構造の転換にさらされている。ウィスコンシンに限らず、アメリカ中西部の工業都市ではどこでも同じことが起きている。

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