不景気でも業績拡大! 大手共済の知られざる実力を探る


【リポート5】JA共済--生保レディ必見! JA営業マンの日々の活動

業従事者が縮小の一途をたどる中、JAの組合員以外にどれだけ共済を広められるかが、JA共済の未来を左右する。その使命を担っているのが、LA(ライフアドバイザー)と呼ばれる販売担当者である。

基本は、ピンポンピンポン……。地方の住宅街で、一軒一軒チャイムを押す飛び込みセールス。

「農協だと言えば、最低限、ドアは開けてくれる。門前払いがほとんどないのはラッキーですが……。配属されたときには、正直ショックでした」(LAのAさん)。

「配属」という言葉に思わず聞き返してしまった。生保のセールスレディは正社員ではなく、歩合給が中心の個人事業主だが、LAはJAの正職員なのだ。

Aさんは、以前はJAで貸付業務を担当していた。その自分が、足を棒にして飛び込みセールスをやるとは思わなかった。現在でこそ、新規契約に加えて契約の書き換え、集金など、一日に20軒近く回らなければ間に合わないほど顧客は増えた。しかし、配属当初は、チャイムを押す勇気がなく、住宅街を何周も、ただウロウロしていたという。

新卒でLAに配属される職員もいれば、Aさんのように、昨日まで、まったく違う仕事を担当していた職員が、人事ローテーションで突然、LA担当に異動することもある。また、小さな事業所では、他の部署と兼務のLAも珍しくない。通常は3~4年でLAを“卒業”して別の部署に移るが、長い人だと10年以上LAというケースも少なくない。

LAに任命されると3カ月から半年の研修を受けて、顧客にアドバイスできるだけの知識を身につける。もっとも、JA職員はLAでなくても全職員が「一斉推進」活動による共済の販売経験があるので、ゼロからの勉強というわけではない。現在、農協の事業所700カ所にいる約2万人のLAのうち、6000人がFPの資格を持っているといえば、その実力の程がわかるだろう。

JA組合員の9割は何かしらのJAの共済商品に加入しているという。組合員対象のLAの仕事の中心は、たとえば建物更生共済だけに加入している組合員に医療共済など他の共済を勧めることや、共済の見直しなどになる。地元のJA職員と組合員はたいがいが顔見知り。子どもが生まれた、結婚した……。JAの他部署の職員が教えてくれた情報が仕事につながることもある。

山古志地区では共済金が集落復興に貢献した

LAのモチベーションは高い。組合員以外のサラリーマン家庭も回っている前出のAさんは、共済商品を紹介すると同時に、農協の野菜や果物のよさをアピールすることも忘れない。「生きがいを感じる」とまで言い切る。また、はっきり数字で実力が示せるLA担当として活躍することで、その後の出世を狙っている人もいる。LAの知識は、営農指導や信用など別業務の担当になったときにも、農家とのコミュニケーションに役立つとして、長期的な視野で考えている人もいる。

そもそもJAに就職するのは、農業や地域に対する愛着が深い人だろう。地元に親戚や家族、知人も多く、職員自体も地域に密着して生きているケースが多い。「だから、いい加減なことはしない、という地域での信用もある」(JA共済連広報室)。

かつて農村地帯は、不便な場所だから営業しても採算が合わないと保険会社に無視されてきた。だから、自分たちのための保険、JA共済が誕生した。そうした歴史は、LAはもちろん、JAの全職員にたたき込まれている。地方に行けば行くほど、JA共済は強い。

2004年の新潟県中越地震で被災した山古志地区。ここでは全690世帯のうち9割に相当する630世帯がJA共済の建物更生共済に加入しており、約92億円の共済金が支払われた。1世帯当たり1400万円になる。この金額が住民の心の支えになり、集落再生に大きく寄与したことは間違いない。

(週刊東洋経済)

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