不景気でも業績拡大! 大手共済の知られざる実力を探る


【リポート2】東京都民共済--銀行、コンビニ、戸配 パンフ配布を大展開!

同じ県民共済グループの東京都民共済は、悔しくてたまらない。生命共済で埼玉県民共済が割戻金率35%を誇っているのに対して、都民共済の割戻金率は29%。他の大手共済と比較すれば十分胸を張れる水準だが、埼玉の前には見る影もない。しかも共済の保障内容まで埼玉と東京では開きがある。「東京と埼玉の県境の人からはいろいろ言われます。同じ掛け金なのになぜ東京は低いのかって」(広報企画部)。

東京と埼玉の差は経費率の差でもある。埼玉の3%に対して東京は19%。決して東京が高コストというわけではない。スケールメリットの差である。何しろ埼玉県民共済の生命共済の加入者は221万人。埼玉県民の3人に1人が加入しているのに対して、都民共済の加入者は128万人。都民の9人に1人にすぎない。これでは埼玉のような口コミ効果も得られない。

そこで都民共済は埼玉が現在行っていない人海戦術で顧客基盤を広げる作戦に出た。240人の普及員が1人3000~4000枚のパンフレットを配って歩く。必要に応じて顧客に説明もする。さらにパンフの配布に専念する配布員も150人を確保。これで都内の世帯数の7割をカバーできるという。人海戦術に踏み切った理由は口コミ効果への期待。彼らを核として都民共済を地域に根付かせたいという狙いがある。だから「販売はしないが、きちんと説明できるように3カ月の研修を受けさせている」(広報企画部)。

普及員は銀行の店舗にもパンフレットを置いて回る。もし都内の銀行で「こくみん共済」よりも「都民共済」のほうが目立つ場所に置かれていたら、それは「普及員と銀行のフロア担当者との信頼の証し」だ。さらに、都民共済ではファミリーマートなどのコンビニ、デニーズなどのファミレスにもパンフレットを配置して、少しでも都民の目に触れるよう、地道な活動を続けている。

こうした努力が実を結んで、2007年度の生命共済の純増加数では、東京が埼玉をついに逆転した。だが、都民共済は気を抜かない。「私たちだって、朝8時前に郵便局に書類を取りにいきます。その日のうちに振り込んであげたいから」。彼らが競っているのは数字ではない。あくまでサービスの質なのだ。

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