不景気でも業績拡大! 大手共済の知られざる実力を探る

【リポート3】コープ共済--「生協らしさ」追求 組合員で勉強会

コープ共済の保障商品は、生協の商品を配達する職員やお店で働く職員を通じて加入する。だが、こうした職員とは別に、コープ共済では生きがい、健康、資金づくりに関するアドバイスを行うライフプラン・アドバイザー(LPA)という専門家を育成している。LPAは2007年末で2000人を超えた。だが、いかにも生協らしいのは、LPAは共済を売るわけではないということだ。「生協の大きな役割は、自分で商品を選べる知識を身につけるための場を設けること」(渉外・広報部)。LPAはこうした組合員の学習活動を推進する役割として期待されているのだ。

コープ共済では各生協と協力し、ライフプランを考えるための勉強会、講演会、相談会などを開催している。そうした活動の一つ、埼玉県にある生協「生活クラブ埼玉」で開催された勉強会に参加した。

講師は生協の組合員でもあり、FPとLPAの資格を併せ持つ藤井智子氏。今回のテーマは医療保険の基礎知識についてだった。まず、医療保険でどこまでカバーできるかを知ったうえで、共済や生保商品の利用を考えようという趣旨だ。

勉強会には、家庭の主婦を中心に二十数名の組合員が集まった。同じ生協の組合員同士だから、打ち解けるのも早い。熱心に講義に耳を傾け、メモを取り自分の体験を交えながら積極的に質問もする。講師も自分の体験を交えて、それに答える。具体例がたくさん出てくるので、聞いている方もわかりやすい。講義が終わった頃には、いっぱしの医療保険通になる。

実際、コープ共済の調査では、ライフプランニング活動後に、コープの共済に加入した世帯の割合は23%。組合員の知識の向上が、確実に共済加入数拡大につながっている。

しかし現在では、このように熱心に生協活動に参加する組合員は減少傾向にある。代わって増加しているのが、店舗や宅配など、サービスのみを利用する会員だ。働く主婦の増加も活動を難しくしている。

「でも、忘れてほしくないのは生協の理念。共済も、食品や雑貨などと同様、世の中で足りないものは、自分たちで作っていこうという発想で生まれた。生協は便利な販売業者ではない。よい共済ができたら加入するというのは、趣旨に反している。みんなでよりよい共済を作る。これだけは強調したい」(藤井氏)。

【リポート4】こくみん共済--新聞折込チラシから対面店舗に軸足

白石美帆、中村雅俊--。有名タレントを起用して大々的にテレビCMを打って、一気に全国的に知名度を高める。あとは新聞の折り込みパンフレットを見て申し込むだけ。この戦略がズバリ的中して、急拡大を遂げたのが全労済の「こくみん共済」である。「極端に言えば大量宣伝による大量加入。組合員を増やしていく活動が中心だっ
た」(経営企画部広報室)。だが、最近では、CMを打ってもこれまでのような反応が返ってこなくなったという。

そこで全労済では、テレビCMによる知名度向上策から、対面店舗を活用した販売推進に軸足を移しつつある。

典型的な「共済ショップ」の一つ、ショップ新宿を訪ねた。10坪ほどのスペースにスタッフが2人。入ってくる客を待っている。だが現在のように生保・共済間の競争が激しい時代には、客を待っているだけの店舗は固定費の無駄だ。

そこで推進しているのが、生保のセールスレディに近い「保障アドバイザー」の店舗への配置。保障アドバイザーは、要望に応じて、個人宅にも職場にも足を運ぶので固定客を確保できる。保障アドバイザーを媒介に、店舗と地域や職場とのつながりを深める戦略だ。現在は店舗数200以上に対して保障アドバイザーはまだ180人。将来は全店舗に配置していくという。

新店舗「ぐりんぼう」は全国一体感の象徴

労働者の共済からスタートした全労済は、伝統的な「職域チャネル」のほかに、共済ショップなどの「店舗チャネル」、さらに「アドバイザーの訪問チャネル」と、バラバラに発展していた。

これらのチャネルを有機的に結びつけた実験ショップ「ぐりんぼう」の展開も始まった。ショップ機能、保障アドバイザー機能に加えて、自由スペースが設けられている。共済セミナーや相談会を開催したり、組合員のための地域活動、文化活動の場としても利用できる。現在、全国に17カ所を展開。成功事例を重ねて順次拡大していく予定だ。

言うまでもなく、全労済は地域ごとの独立性が強い。店舗の呼び方ですら、ショップ、支所、事業所、支局といった具合にバラバラだ。各地域とも歴史があり、実績があるので、一つのやり方に統一することは容易ではない。つまりまったく新しい「ぐりんぼう」は、そうしたこだわりを取り払い、全国の店舗の一体感を醸し出す役割も担っているのだ。

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