J-REITがこれからも堅調と言える3つの理由 「金利上昇」でも投資先としてやっぱり有望

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不動産は、「住む(住宅)」「働く(オフィス)」「消費する(商業施設、ホテル)」という人々の生活で重要な役割を果たしている。また、それらを支えるインフラ(物流施設など)が必要不可欠なのは言うまでもないだろう。

「住み心地」「働きやすさ」「消費・レジャーの充実」、それらを支える「物流インフラの構築」という場の提供は、不動産オーナーであるJ-REITがその一端を担っている。REITは「テナント満足度の向上」を通じて、高水準な稼働率、対価としての適正賃料の確保が収益源泉となる。

また、賃料収入を源泉とした利益のほぼ全額を投資家に分配することで、法人税を実質的に免除された金融商品である。そのため、国債など、ほかの国内金融商品と比較して高いインカムゲインを実現している。分配金という形で、投資家に分配することも社会に貢献する仕組みと言える。

投資主の利益を最大化するのがREITのガバナンス

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REITにとっての「ガバナンス」とは、「投資主利益の最大化を目的として運用を行う」という点に尽きるだろう。

逆に、ガバナンスが欠如する場合に多く見られる点は、スポンサーとの利益相反問題である。REITが物件を取得、および保有できるのは、投資主が出資するからにほかならない。つながりのあるスポンサーから物件を仕入れて資産規模を拡大する(物件パイプライン)際も、何より重視すべきは投資主の利益だろう。スポンサー保有の物件の益出しのためにREITを活用し、投資主の利益を毀損させては決してならない。

J-REITの投資主構成は投信を含めると、個人投資家や年金基金が大半である。国民の資産形成にとって、J-REITは重要な投資対象であろう。REITにおけるガバナンスの強化は非常に重要である。仮に、ガバナンスが欠如し、投資口価格が低迷すれば、REIT自身も資金調達ができずに運営に行き詰まり、持続可能性が保てないことになる。長期にわたって安定的に運営されるためには、「ガバナンスの強化」は何よりも重要だと言える。 

鳥井 裕史 SMBC日興証券株式会社 株式調査部 シニアアナリスト

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とりい ひろし / Hiroshi Torii

大和総研、大和証券SMBCを経て2010年より現職。10年にわたりJ-REIT市場の調査・分析に従事。Institutional Investor誌「All-Japan Research Team」REIT部門で2012~2018年で7年連続1位。日経ヴェリタス誌「アナリストランキング」REIT部門で2016~2018年で3年連続1位。

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