J-REITがこれからも堅調と言える3つの理由

「金利上昇」でも投資先としてやっぱり有望

昨今、国内外のマーケットでは、ESGという言葉が大きなテーマとなっている。ESGとは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったものである。2015年9月に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、「資産運用において、ESGの視点を反映させる国連責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」に署名したこと。そして、2017年7月に、ESG指数をベンチマークとした運用開始を発表したことなどを背景に、同分野への注目が高まっている。

J-REIT市場、および国内不動産市場が質の向上を伴って成長していくためには、ESGへの取り組みは不可欠と考える。各J-REITにとってESGという3つの条件を満たすことは、既存投資家からの評価のみならず、持続可能性の視点からも重要であろう。

では、各J-REITに組み込まれた「環境に配慮した不動産」とは、具体的にはどんなものを指すのか。そして、どんなメリットがあるのか。

環境に配慮したREITは、資金調達の面でも有利

まず、保有物件の館内照明器具のLED化、温室効果ガス排出量削減、太陽光発電システムの導入による再生可能エネルギーの活用、施設の外壁への断熱素材の採用などが考えられる。それにより、水道光熱費のコストだけでなく、環境への負荷が削減できる。

このような環境に配慮した低コスト物件に入居したいという企業や、ESG投資を重視する金融機関などを誘致することで、物件の稼働率向上や賃料の上昇も期待できるだろう。

2015年7月に国土交通省が実施した「環境不動産普及促進検討委員会」で、ザイマックス不動産総合研究所が発表した資料によると、環境認証を取得している物件はこれを取得していない物件よりも、新規成約賃料が4.4%高いというデータが示された。

現在は日銀による超金融緩和政策の下で、ほぼすべてのJ-REITは、借り入れによる資金調達までに至っていない。ただし、通常の市場環境に戻った場合、「DBJ Green Building認証」や「SMBCサステイナブルビルディング認証」など、各金融機関から認証を得た物件を組み込んでいたほうが、金融機関からの信頼は高く、借り入れする際もポジティブにとらえられる。また、2018年5月に日本リテールファンド(8953、JRF)が、J-REIT市場で初となるグリーンボンド(環境問題解決に資する事業に限定して資金調達を行う債券)を80億円発行。5年債で利率は0.21%と非常に低利率であった。

このような点から、J-REITが「E:環境」に配慮した運用をすることは、持続可能性、および、競争力の高いポートフォリオの構築に加え、資金調達の面でも有利に働くと考えられる。

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