「実家の片付け」子が気をつけたい5つの基本 高齢者の自宅での転倒事故は意外と多い
「実家の片付けと自分の家の片付けはゴールが違うので、同じやり方で行ってはいけません。というのも、自分の家の片付けはきれいにすることが目標ですが、実家を片付ける目標は"ご両親が安心・安全・健康に暮らせる家"だからです」
つまずかない、物が探しやすいなど、親にとって暮らしやすい家を目標に、親と一緒に片付けることが大切なのです。
「片付けさせて」という姿勢が重要
片付けるときの態度は、けんかにならないよう配慮が必要です。
「ご両親に片付けを"させる"という意識で強制するとけんかになってしまい、親子断絶になるケースもあるんです。あくまでも片付けを"させてもらう"という気持ちで行うことがカギになります」と渡部さん。
それは気付かぬうちに言葉に出ていることもあります。例えば「どうせ着ないんでしょ」「汚い!」「いつか使うって、いつよ」といった言葉は、悪気がなかったとしても相手は人格を否定されたような気持ちになります。
「『つまずいて転ぶと心配だから片付けようね』『当分使わなそうだから上に置いておくね』というように、ご両親が心配だからという理由を先に伝えて、だから片付けさせてね、という気持ちで臨むのがベストです」
また、親の家の主はあくまで"親"です。親の考えを聞かずに物を捨てたり動かしたりしてはいけません。勝手に片付けて気分がスッキリするのは、子どもだけ。親は物がなくなって悲しくなり、心の隙間を埋めるためにまた買い物をしてしまうことも...。
「子ども世代からすれば古いだけの物も、ご両親には思い出のある大切な品です。また、家具などを勝手に動かすと、認知機能が衰えている場合は日常生活に戸惑う場合もあるので気を付けましょう」
◆ポイント1「親にとっての"暮らしやすい家"を目指しましょう
大切なのはきれいにすることではありません。ケガや事故が起きにくい、掃除がしやすいなど親にとっての暮らしやすさを考えましょう。
□ つかまりやすい
□ 物が探しやすい
□ 薬が飲みやすい
□ 物は出しやすく、しまいやすく
□ つまずかない
□ 掃除がしやすい
□ 寝室→トイレの安全な動線
□ 眼鏡や補聴器が手元にある