憲法解釈だけで国会の不在投票が可能なワケ

小林史明議員が明かす「国会改革の進捗」

まず、日本国憲法第56条の条文をみておこう。

「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる」

問題は「出席議員の過半数」と規定されていること。この「出席」とは「議員本人が議場に現在すること」と解されていた。そのため、衆議院規則第148条では「表決の際議場にいない議員は、表決に加わることができない」と「本人主義」が厳格に定められたのである。

その目的は、言うまでもなく投票の真正さを担保するため。つまり、なんらかの事情で議員本人が議場にいることができない場合は、棄権を強いられることになってしまう。この憲法解釈を変更できなければ、遠隔投票制を実現するためには憲法改正が必要になる。こうなると、「平成のうちに」実現するどころか、ハードルが非常に高くなってしまうのだ。

スペインでは遠隔投票を実施

「そこで衆議院の法制局が外国の諸例を調査したところ、スペイン憲法が日本と同様の規定を持つにもかかわらず、国会で遠隔投票を実現していることがわかりました」(小林氏)

スペイン憲法第79条は「決議を採択するために、両議院は法令に従い召集され、議員の過半数が出席することを必要とする」とし、その2項で「決議が有効となるためには、出席議員の過半数の賛成を必要とする」と定めて議員本人の「出席」を要件としている。

さらに3項で「上院議員および下院議員の投票は、議員本人が行い、代理投票は、これを認めない」として、重ねて直接投票を義務づけている。また上下院議事規則では、議案発効のためには「出席議員」による可決が必要とされている。

その一方で議院理事部によって、「投票に参加することが明確に認められた場合」はその議員は欠席していても出席しているものとみなされ、「産前産後の休暇、育児休暇、および重篤な病気の場合」で、理事部が文書で許可した場合は、電子的な手続きでもって投票することができることになっている。

スペイン憲法が制定されたのは1978年。現在のような電子化社会を想定だにしていなかった。それよりもさらに31年も早く施行された日本国憲法に、そうした観点が欠けていても仕方ない。よって日本国憲法は遠隔地投票をおよそ想定していないというよりも、そうした制度の創設を否定するものではないと解することができるのだ。

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