福西崇史も参戦!南葛SCの負けられない戦い キャプテン翼の葛飾にJリーグクラブの野望

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福西氏は2008年に現役を引退してから10年間もの月日が経っていた。

サッカー解説などの仕事も多くスケジュールが詰まっている福西氏に、ダメもとで相談した。表参道のカフェで口説いたのを岩本GMは鮮明に覚えている。

「選手でですか!!! (僕は)監督を目指してるんですが……」

Jリーグ監督に就任できるS級ライセンスを取得している福西氏は驚きを隠さなかった。

岩本氏はチームの状況を説明した後、こう続けた。

「中盤の真ん中のポジションでチーム全体を落ち着かせたり、1-0で勝っているときに守りにいくのか2点目をとりにいくのか、そういう判断やバランスが崩れたときに修正できる人間がいないんです。

福西さんにガンガン走ってくれと言っているわけではなく、チームに規律と状況判断の軸をもたらしてほしい。ピッチ内の監督をやってほしいんです」

体も動き指導者としての能力もある福西氏が適任で、福西さんの復帰により知名度も注目度もすごく上がる、そういうことも含めて来てくれないかと粘り強く口説いたという。

アマチュア契約で異例の現役復帰を果たすことに!

ただ、9~11月の契約の中で、さらに予算が出せる状況ではなかった南葛SCはアマチュア契約をお願いした。キャプテン翼ファミリーとして今後は一緒にやっていきたいというオファーも含めて出したのだ。

高橋先生も説得に乗り出し、別の日に福西氏と1対1で3時間も話してくれたという。

その結果、登録期限ギリギリで、”福西選手”が再び誕生することになった。

実際に10年ぶりに本格的に復帰した福西氏の動きはまったく心配ないそうだ。

「引退してから10年経ってるとはいえ、もともとストイックに体を動かしている人。チーム内でもプレーの選択肢の多さはずば抜けています。解説者としてもいいサッカーを見ているので、むしろ上がっている能力もあると思います。

日本代表で50試合以上出ていてワールドカップにも2大会出ている選手が変なプレーをするわけはないですから。復帰戦で格好悪いプレーをしたいとは思わないですよね。そういう意味でも心配していません」

11月3日から始まる決戦に向けての最後の意気込みの言葉が筆者は忘れられない。

「関東2部に上がれるのであれば、僕と高橋先生は全力でなんでもする、それくらい勝ちたいんです」

本気でJリーグ昇格を目指す南葛SC。運命の一戦である第52回関東社会人サッカー大会1回戦(与野蹴魂会戦)は11月3日11時から東京都内の清瀬内山公園Aで行われる。この試合で勝てば、翌4日11時から赤羽スポーツの森公園にて準々決勝を戦うことになる。

後編では11月3日、4日の試合結果とともに、南葛SCのJリーグ昇格に向けた野望をより詳しくお伝えしたい。

(文中一部敬称略、後編に続く)

菊池 康平 スポーツライター

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きくち こうへい / Kohei Kikuchi

プロサッカー選手を目指して学生時代と会社員時代の夏期休暇などを利用し12カ国に挑戦。会社を1年休んで挑んだ13カ国目のボリビアでプロ契約を果たす。飛び込みで現地のチームと交渉し、テストを受ける道場破りスタイルを得意とする。現在は16カ国でサッカーに挑戦した経験を夢先生などの活動を通して子どもたちに伝えている。アスリートへの就労支援、KING GEARなどでライター活動、専門学校の講師などにも従事。

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