世界のハイテク株、時価総額約110兆円消滅 「アップル1社分」があっという間に消えた
[24日 ロイター] - ハイテク株が今月に入って失った時価総額は世界全体で約1兆ドル(9%)に上ったことが、リフィニティブのデータで明らかになった。
需要減退やバリュエーションの高さ、米中貿易摩擦などを巡る懸念が痛手だ。米国債の利回り上昇で、投資家がリスクの大きいセクターから債券に資金を移したことも、売りを誘った。
時価総額1億ドルを超える世界中のハイテク企業1701社を調べた結果、今月初めに11兆6400億ドルだった合計時価総額は23日におよそ10兆5800億ドルに目減りした。
もっともこうした時価総額の消失規模は、過去数年間続いた株価高騰で積み上がった分と比べれば微々たるものだ。1701社の合計時価総額は2013年以降で2倍に膨らんでいる。
特にフェイスブック<FB.O>、アップル<AAPL.O>、アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>、ネットフリックス<NFLX.O>、アルファベット<GOOGL.O>傘下のグーグルという米巨大IT企業5社、いわゆる「FAANG」の合計時価総額は、足元の下げ局面前までに3.5倍に達していた。
ただ今月の売りは、今年初めに見られた動きに比べて大きく、ハイテクセクターの地合いが悪化して、投資家がさらなる値下がりに備えている様子がうかがえる。
ハイテクは米中貿易摩擦の逆風を最も強く受けているセクターの1つでもあり、中国ではこのセクターが市場全体をアンダーパフォームしている。
ゴールドマン・サックスは先週のリポートで、ハイテク株の2015年以降のリターンが86%と、S&P総合500種の上昇率42%をはるかに上回っていると指摘しながらも、今回の売りを受けて買いが集中していた状況と限界まで高まったバリュエーションに対する投資家の不安が再燃したとの見方を示した。
今月売られたとはいえ、ハイテクセクターの12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は16.5倍と、他のセクターの平均の12.9倍よりもずっと高い。
ハイテク株は過去数四半期の力強い増益によって押し上げられてきた。しかしアナリストは最近、製品需要の勢い鈍化や米中貿易摩擦を理由に慎重姿勢を強めつつある。
リフィニティブによると、過去1カ月でハイテク株の12カ月予想利益は3.06%下振れした。
マッコーリーは今月のリポートで「われわれは貿易摩擦の激化と、半導体やオートメーション、メモリー、スマートフォン、サーバーなどの分野の第4・四半期の需要減速を予想している」と述べた。
ハイテク株の下落を地域別に見ると、米国と中国、香港の企業が主導。個別銘柄ではアルファベット、アリババ<BABA.N>、マイクロソフト<MSFT.O>、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>の下げがきつかった。
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