山崎元氏「相場予測が外れてしまった理由」 下落したので反省の弁を述べなけれならない

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さて、結論としてはおおむね「じっとしているのがいい」のだとしても、マーケットについて考えることは必要だ。

今回、筆者が軽視したのは、アメリカの長期金利上昇の影響だったと思う。同国の長期金利は10年国債利回りで3%台に乗せてきたが、従来の感覚では機関投資家が本格的に債券投資に魅力を感じるのは4%くらいからであった。

しかし、先進国が全般的に低インフレ化し、欧州や日本ではまだ中央銀行が強度の金融緩和状態から抜け出せずにいる今日、実質金利でプラスの1%程度ある米国の長期金利はそこそこ魅力的であり、リスクを取る資金が同国の債券に向かう可能性は小さからぬものがすでにあると考えていいのだろう。

中間選挙前に株価が下落するに至り、ドナルド・トランプ大統領は、利上げを続けるFRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長を罵り始めたが、通常のFRBの行動様式から推察するに、政策金利は今年もう1回引き上げられる可能性が大きいし、来年も引き上げ過程だろう。

気持ち悪さを決めるのはアメリカの金利動向

アメリカを競走馬に例えると、騎手(トランプ大統領)は奇矯でおかしいのだが、馬(同国経済自体)はすこぶる元気な状態が続いている。同国の金利はもう少し上がると考えておくべきだろう。

10年少々前の「サブプライム問題」のような規模の大きなバブルは発生していないように見えるし、新興国からの資金流出は個別に深刻なケースが生じるかもしれないが、アメリカの経済全体を脅かすような大きな問題は現時点で見えていない。トランプ氏がやろうとしている追加的な減税がプラスに働く可能性もある。

先日、東証上場のETF(上場投資信託)で国内株式と外国(先進国)株式(証券コード:1306と、同:1680)の過去5年程度の値動きを調べる機会があって、両者のリターン(円ベース)の相関関係が0.8を超えていることがわかって驚いた。

これは、直接的には海外の機関投資家の影響が大きいということなのだが、日本の株価はほとんどアメリカの株式とドル/円の為替レートに振り回されている。今後のアメリカの金利上昇を予想すると、同国の株価が「調整」という規模なのか、「暴落」と呼ばれるような規模になるのかはわからないとしても、今後から来年にかけてかなり「気持ちの悪い」局面を迎えることはありそうだ。そして、その場合に、日本株もこれに付き合うことになるのだろう。まして、日本で2019年秋に消費税率を引き上げることになるのなら、景気にも曲がり角が訪れそうだ。

前述のように、投資家にあっては「気持ちの悪い状況」を我慢しつつ市場に居続けることが正解なのだろうが、当面の気持ち悪さの具合を決めるのはやはりアメリカの長期金利の動向だろう(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページここからは競馬コーナー。「秋天」の勝ち馬は?
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