一方、特に長期で資産形成をしようとしている投資家には、今の時点で心に留めておいてほしいことが2つある。
長期投資家の「2つの教訓」とは?
1つは、株価は、短期間にこれだけ動きうるものだということだ。率直に言って精神的には迷惑なことだが、この「嫌な感じ」こそが、株式のリターンがリスクのない金利よりも高くなることの根本原因であり、「リスクの嫌な感じ」を引き受けるための追加的なリターンである「リスクプレミアム」の存在根拠なのだ。投資家は、この感じとずっと向き合わなければならない。
もう1点は、仮に投資家である読者が、日経平均2万4000円の時点で持ち株の一部を売っていたとして、さて、もくろみどおり10%近く株価が下がった現時点で、たとえば日経平均2万2000円の水準にあって、(1)さらに下落しそうだから持ち株を売るのか、(2)もうこれ以上下がりそうにないから株式を買い増すのか、判断するのは極めて難しいことを確認しておこう。「10%の下落」は、これを当てることも難しいし、10%近辺で買い戻すのも難しいのが投資家にとっての現実だ。
主にアメリカの過去の株価推移を参考にすると、経験則的には、この程度の株価の下落は数カ月から1年、長くても2年程度で回復して再び高値を追っていくのが常だ。今後も絶対に同じパターンが続くと言い切ることはできないのだが、マーケットではリスクプレミアムが織り込まれて株価が形成されていることを期待して、株式を持ち続けることが投資家にとって正解になる場合が多かった。
結局、大多数の投資家にとっては、利食ったり、買い増したりといった操作をするのではなく、自分にとって適量だと思うリスクをじっと持っているのが無難なのだという理解に落ち着く。
ただし、たとえば自分に取ってのリスク資産投資額は1000万円が適当だと思う投資家がいるとして、日経平均2万4000円の時に1000万円あったリスク資産が値下がりして900万円になっているような場合、資金に余裕があれば100万円投資してリスク資産を1000万円にするような操作を行うことは悪くない理屈だ。
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