ラクスルが目指す「シェアリング基盤」の可能性 仕組みを変えると効率化が進む

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松本:意図的な出資元の分散には、もう1つの理由もありました。それは、いずれか1社のウエートが高いと、そのベンチャーキャピタルの意向が支配的となりがちで、次の調達を行う際の規模感もおのずと固定化されてしまうことです。たとえば仮に出資比率20%分の資金をベンチャーキャピタルから調達するとしても、1社がそのすべてを投じるケースと10社で分け合うのでは関係性が大きく変わってきます。出資比率は出資元との交渉に大きな影響を及ぼすわけで、その意味でも1社に集中させたくなかったのです。ただ、内部の人間だけであまりにも自由にやりすぎるのも企業活動の毀損につながりかねないと思ったので、ガバナンスを強化する意味で朝倉さんを社外取締役に迎えました。

プラットフォームで非効率な伝統的産業を構造改革する

小林:ここで改めて、御社の主力事業の概要についてご説明いただけますでしょうか?

松本:われわれは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンの下、伝統的な産業にインターネットを持ち込み、そのバリューチェーンや産業構造の在り方を変えていくビジネスに取り組んでいます。現在の主力事業は、印刷のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」と、物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」です。「ラクスル」は日本全国の印刷会社をネットワーク化して仮想的に巨大な印刷工場を構築し、オンライン上で名刺やチラシ、封筒などの印刷を受注するというサービスです。各々の印刷会社の印刷機がこれまで稼働していなかった時間を活用し、高品質な印刷物を低価格で提供しています。一方、「ハコベル」は全国の小規模な運送会社をネットワーク化し、従来なら非稼働となっていた時間帯に荷物を運ぶというサービスをネット上で提供しています。

小林:印刷や物流における空き時間を活用するというB to Bのシェアリングビジネスを展開しているわけですね。

(画像:ラクスル 2018年7月期第3四半期 決算説明会資料より)

松本:われわれがコンセプトとして打ち出しているのはシェアリングプラットフォームです。20世紀は大企業の時代でしたが、21世紀はプラットフォームの時代になると考えているのです。20世紀における印刷や物流は、多数の印刷機やトラックを有する一握りの大手が数万人の雇用を抱えながらサービスを提供し、高いシェアを獲得していくというパターンでした。こうして製造と販売が一体化していることに加えて、二次受けや三次受けが常態化するという多重下請け構造になっているのです。

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