ラクスルが目指す「シェアリング基盤」の可能性 仕組みを変えると効率化が進む
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げ、インターネット上で印刷や物流のシェアリングプラットフォームを展開するラクスル。ユーザーには高品質の商品やサービスが低価格で提供される一方、印刷会社や物流会社はこれまで非稼働だった時間帯から収益が得られることになります。こうしたビジネスを着想した経緯や今後の展望などについて、同社の松本恭攝代表取締役社長CEOから話をうかがいました。
2009年創業のラクスルは、インターネット上のプラットフォームを通じて全国の印刷会社をネットワーク化し、おのおのの非稼働時間を活用して低価格で高品質の印刷物をユーザーに提供するサービスを展開。また、やはりプラットフォームによって全国の運送会社の非稼働時間を有効活用したハコベルを2015年からスタートさせている。赤字経営が続くが、売上高は大幅に拡大し、売上高総利益率の改善も顕著である。2018年5月に東京証券取引所マザーズ市場に新規上場。証券コードは4384。
意図的に複数のVCから出資を募った
小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):当社の共同代表の一人である朝倉は御社の社外取締役も兼務していますが、就任したのはいつ頃のことですか?
朝倉祐介(ラクスル株式会社社外取締役。シニフィアン共同代表。以下、朝倉):確か、2015年の5月でしたね。実は、スタートアップで出資元のベンチャーキャピタルから派遣された人物以外が社外取締役になるのは非常にレアケースです。
松本恭攝(ラクスル株式会社代表取締役社長CEO。以下、松本):おっしゃるとおり、少なくとも国内ではほとんど前例がなかったことだと思います。当時の私はラクスルという会社における経営と執行の役割について、改めて自分の頭の中で整理し、適切なバランスを保とうと考えていました。7億円だった売り上げが27億円まで増えて急成長中だったとはいえ、それでも今と比べれば4分の1程度の規模で、経営と執行が完全に一体化していたことに問題意識を抱いていました。