厳冬に凍える半導体業界、好調企業はごく希な存在に

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 半導体需要の冷え込みが厳しさを増している。主要半導体メーカー66社が加盟する世界半導体市場統計(WSTS)では、2008年の半導体市場規模を今年春に前年比4・7%増と見込んでいたが、秋に同2・5%増へと下方修正した(11月18日発表)。09年の見通しも、今春には5・8%増との予想だったが、秋には同2・2%減へと下げている。マイナス成長となれば、ITバブル崩壊後の01年から、実に8年ぶりとなる。

業界には目下、個人消費の冷え込みが直撃している。半導体ウエハの売れ行きは、半導体ひいては民生用電子機器の年末商戦を占う先行指標となるが、「例年なら7月から9月までが書き入れ時だったが、今年は8月で終息してしまった」(SUMCO)。逆に半導体商社の受注状況は、年末商戦に向けた遅行指標となるが、「例年なら11月まで続く出荷が、今年は10月で終わった」との声が漏れる。

希有な好調企業

しかし、半導体産業にも景気のいい話が皆無ではない。設計・開発に特化したファブレス半導体企業、ザインエレクトロニクスの高田康裕取締役が語る。「世界中であなたの会社だけが、今なお年末商戦に向けた半導体の委託製造の注文を出してくれる--。委託先にそう言われた」。

ザインは東芝の半導体技術研究所LSI開発部で部長を務めた飯塚哲哉博士が1991年に創業。半導体企業として唯一、韓国サムスン電子と合弁を組んだことでも知られる。液晶やプラズマなどの薄型テレビ向けを得意とし、画像信号伝送用などでは世界シェアの3割以上を占める。従業員121人(9月末)と小規模ながら、独自技術の半導体をサムスン電子、ソニー、パナソニックなど大手テレビ各社に納入してきた。

07年度から低採算事業を抑制しているため、表面的な業績は減収基調。ただ水面下では新製品への引き合いが多く、「薄型テレビ各社からの注文は途方もない数量」(高田取締役)。中でも引っ張りだことなっているのが、フル高精細度で倍速表示にも対応した「表示制御用LSI」だ。例年、年末商戦向けの半導体は、9月から10月がピークで、11月初旬には終息するが、「今年はまだまだ追加注文が続きそう」(高田取締役)。来年度は大幅増収が見込まれる。

ただ、こうしたケースはごくわずか。むしろ「09年3月までにDRAMのライバル数社が破綻する」(坂本幸雄・エルピーダメモリ社長)、「大手数社が携帯電話端末機向けから撤退する」(半導体商社)と、底の見えない不況から再編淘汰説も現実味が強まっている。

(石井洋平 =週刊東洋経済)

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