日本の新卒採用が解決できてない3つの難題

就活ルール見直し、経団連の真意はここに

ただ、あくまで「要請」であり法的な拘束力はない。企業が優秀な人材を先んじて囲い込もうとした結果、ルール破りが横行し、それではいけないと、これまで何度も解禁時期が見直されてきた経緯がある。今では「指針」「要請」は形骸化しているのが実情だ。

好景気下で超売り手市場といわれる昨今、学生獲得競争は熾烈化。現行ルールでは3年生の3月1日が採用広報活動の解禁日、4年生の6月1日が面接などの選考活動の解禁日と定まっている。ただ多くの学生は3年夏ごろから3~4社のインターンシップに参加。そこで選抜した学生に一部選考を免除する企業も多い。いわゆる「青田買い」だ。

ディスコ社の内定者調査によると、4月1日までに18.8%、5月1日までに42.2%の学生が内定を保有。それだけの企業が早々に選考し、内定を出していることになる。

いくらルールを作っても、守られなければ意味がない。経団連が就活ルール廃止を宣言したことについて、「『もう旗振り役は嫌』というのが経団連の本音だろう」と雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏は指摘する。中西会長も会見で「(就職活動の)ルールは否定していない。経団連として決めるつもりはないということ」とくぎを刺した。

大・中・小に分かれる就活問題

ただ経団連の中西会長は、就活ルールづくりからの撤退を宣言しただけではない。「企業側も大学教育への期待感が低いが、これは反省すべき」などと大学教育のあり方について疑問を呈したほか、新卒一括採用、終身雇用を前提とする日本型雇用のあり方についても問題を提起している。

中西発言の真意は何か――。経団連関係者は「中西会長が考える就活の問題は大・中・小の3つに分かれる」と指摘する。

「大問題とは、日本型雇用から欧米型のジョブ型に変えようという話。中問題とは今後も経団連が就職協定を決めるべきかという話。小問題は2021年の就活をどうするかという目先の話だ」(同関係者)

10月15日から開かれている政府の会合では、経団連と就問懇も招集されたが、あくまでオブザーバーの扱い。目先の懸案となっていた2021年春入社組の採用活動の時期については、政府が主導して現行ルールを維持することが決まった。これは前述の“小問題”の話といえる。

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