日本の新卒採用が解決できてない3つの難題 就活ルール見直し、経団連の真意はここに

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経団連が就職活動のルール作りからの撤退を宣言。新卒獲得競争はどう変わるのか(デザイン:池田 梢、イラスト:河南 好美)

10月15日、日本政府は文部科学省や厚生労働省、経済産業省の担当者、さらに日本経済団体連合会(経団連)や大学関係者らを招集し、会合を開いた。会合の名は、「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」。2021年春入社の大学生の就職活動のルールを定める会合である。

冒頭で古谷一之内閣官房副長官補は、「何よりも学生が抱える不安を解消し、学習時間を確保しながら、安心して就職活動に取り組むことができるようにすることが喫緊の課題」との問題意識を示した。

政府主導の会合が開かれたきっかけは、経団連の姿勢の転換だった。「経団連が採用選考に関する指針を定め、日程の采配をすることに違和感を覚える」――。今年9月、経団連の中西宏明会長はそのように発言。これまで経団連と大学側が示し合わせてきた“就活ルール”を、一方的に廃止することを明言したのだ。

突然の発言には波紋が広がった。経済同友会の小林喜光代表幹事は、「一石を投じたことを前向きに評価したい」と言及。一方、中小企業で構成する日本商工会議所の三村明夫会頭は「何もルールがないと就活がどんどん早まる」と懸念を示すなど、立場が分かれた。

守られないルールに意味なし

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そもそも企業の採用活動は例年、経団連と、全国の大学や短期大学などでつくる就職問題懇談会(以下、就問懇)とが話し合いのうえ、解禁時期などのルールを決定する慣習を続けてきた。

具体的には、文部科学省が行司役を務め、両者が会合。そこで合意した内容を、経団連が「指針」として会員企業に遵守を呼びかけ、就問懇は「申し合わせ」として大学側に周知する格好だ。

それを受け、政府(内閣官房)や文科省らが、各経済団体や業界団体に「要請」するという形で順守を促してきた経緯がある。

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