知らずに増えた移民外国人の不都合な真実 もはや彼ら抜きに経済は回らないが課題も

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日本語学校を卒業して大学まで通い、日本で就職したいと願う留学生たちも、3割程度しかその夢をかなえることができない。

世界第4位の移民受け入れ国

ユネスコの「無形文化遺産」に登録された和食も、いまや外国人の労働力なしには成り立たない。コンビニに並ぶおにぎりや総菜は外国人が売っているだけでなく、製造工程においても多くの外国人の労働力に支えられている。

深夜の食品工場を見れば、外国人の割合が高く、和食に欠かせないダシのもととなるかつお節やコンブの加工工場、さらには漁船にもいまや技能実習生が乗っている。もちろん農家でも多くの実習生が働いている。

現実として、外国人労働者抜きに日本経済はもう回らない。わたしたちの生活は彼らの労働力抜きには成り立たない。

OECD(経済協力開発機構)の発表では、日本はすでに世界第4位の外国人労働者受け入れ国である(本の執筆時はまだ5位だった)。

国の政策とは別に、外国人との共生に取り組む自治体も増えはじめている。横浜市では独自にベトナムの医療系大学などと提携して、留学生を迎え入れることを決めた。近い将来、大規模な不足が予想されている介護職に就いてもらうための人材確保だ。留学に関する費用や住居費なども市が一部負担するという。

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2010年から外国人を積極的に呼び込んでいる広島県安芸高田市の浜田一義市長はこう言っていた。

「今後、ウチのような過疎の自治体が生き残っていく道は世界中に外国人のファンを作ることだ。『ガイジンは苦手』と言っている場合じゃない。多文化共生は私たちの必修科目です」

個人としては、外国人の受け入れには賛成の立場だが、これまで国政レベルでも十分な議論がなされたとは思えず、彼らの生活保障に関する法整備など、受け入れの準備はほとんどされてない。このままなし崩し的に受け入れを進めていいものだろうか。

移民の問題を語るときによく引用されるスイスの小説家の言葉を最後に紹介する。

〈労働力を呼んだら、来たのは人間であった――〉

芹澤 健介 ライター、編集者、構成作家

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せりざわ けんすけ / Kensuke Serizawa

1973年、沖縄県生まれ。横浜国立大学経済学部卒。NHK国際放送の番組制作にも携わる。長年、日本在住の外国人の問題を取材してきた。著書に『血と水の一滴 沖縄に散った青年軍医』、共著に『死後離婚』などがある。

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