ドコモは「三河屋」のようなサービスを目指す 加藤薫社長にスマホ時代の新戦略を聞いた
――具体的な特徴は?
ネット上には、無料で見られる動画コンテンツがいくらでもある。だが、ありすぎて何を見ればいいのかわからない方は多い。「何でもできる」では、満足できない方が多くなっているのだ。そこで、ドコモがおすすめ作品を編集し、パッケージとして提供したのが「dビデオ」。当初は本当に使ってもらえるか不安だったが、会員数は450万超の規模に急成長している。
音楽でも、ラジオ型サービスの「dヒッツ」が名前の通りにヒットして会員数は150万を超えた。こちらも今時の曲を聞ける手軽さが好評だ。アニメ見放題の「dアニメストア」も、100万を超えた。正直、ここまで伸びるとは思ってもいなかった。コアなユーザーは30~50万くらいで、dビデオとも多少重なると考えたからだ。ユーザーが膨大なコンテンツの中から作品を探さなくてもいいように、ドコモがひと手間、ふた手間とかけて、よい提案をしていくことが重要だ。
――ユーザーの好みに沿ったサービスを提案していく、と。
これこそが商売の要諦かもしれない。昔は「ちわー」と、家の裏口からやってくる三河屋さんがいた。お客さんの家族構成や年齢、誕生日までよく知っていて、「今日はこれなんかどうですか?」と必要なものをおすすめする。お客さんの特性をとらえて、ビックデータなんかがなくても、頭で考えてやっていたわけだ。できるだけ個人に合わせたものを提案していく。これが商売の基本だろう。ドコモもそんなサービスを大規模に展開したいと思っている。
デジタルコンテツはエンタメ系が中心で、一通りそろえることができた。今後は健康や教育関連、ネットショッピングなど、日々の生活の中で使えるサービスをさらに増やす。10月末にスタートしたファッション通販の「dfashion」も予想を上回る出足となり、手応えを感じている。
サービスで売り上げ1兆円
――2015年までに通信以外のサービス分野で売上高1兆円を目指す構想を掲げています。
今回、dファッションを始めたが、旅先での観光プランまで提供する「dトラベル」も12月に開始する。さらには子供向けのdキッズもある。
10月にはABCクッキングスタジオを買収しているが、こちらは食や健康、学びの分野にあたる。ジグソーパズルのように、足りないサービスを埋めていく。
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