ブルー・オーシャン戦略をアップデートせよ 誰かを打ち負かすのではなく新市場を作ろう
同じ100億円の売り上げでも、競争の結果相手を打ち負かして得た100億円と、新しく切り開いた市場の100億円では、会社の利益を超えた社会全体へのインパクトが確かに違います。
ここで、13年ぶりの新作『ブルー・オーシャン・シフト』を前作と比べたときの、3大特徴をお伝えします。前作と比較して、いったい何がアップデートされたのでしょうか。
まずは豊富な実例・データで証明されていること。前作で提示されたコンセプトを実際の300もの企業や政府機関などの改革プロジェクトに当てはめ、実際の証拠をもとに科学的に成功率を高める、新たな価値の生み出し方を探ってきた結果が反映されています。前作のコンセプトが本当に有効か、多くの企業で試したことにより、より洗練させることができたといえます。なお、ブルーオーシャン戦略の失敗事例も豊富に掲載されており、前作で足りなかった部分も率直に認め、“ブルーオーシャン戦略失敗からの教訓”が充実しています。
2つ目は、ステップ・バイ・ステップで、次に具体的に何をすればいいのかが順序だてて具体的に記されている点です。ステップごとに必要なツールも提供されています。確かに人って、次何やればいいのかわからないと、動かないし、変わりませんものね。本書ではどの順序で何をすれば“視野が狭い井の中の蛙”状態を抜け出し、バリューイノベーションに必要な新たな広い視点を得られるのか、5段階の全てに実用的なツールが用意されています。
そして3つ目は、人間的な側面を重視している点です。つまり人は本質的に自分も尊重されている、参加しているし、価値があるとみなされていることが重要だと。
だからこそ、本書で紹介されている5つのステップすべてに、誰を巻き込みコンセンサスを図るかが、戦略の成否を決めると明確に書かれているのが特徴なのです。戦略って、結局中にいる人が反対すれば、何も実行されずにお蔵入りですものね。
ブルーオーシャン戦略は繰り返し続ける必要がある
典型的なブルーオーシャン戦略への誤解と批判が、過去ブルーオーシャン戦略として紹介されていた企業で、今はダメになったところもあるというもの。これに対する答えは、大半のブルーオーシャンはやがてレッドオーシャンに転落するものであり、ブルーオーシャン戦略はつねに繰り返し続ける必要があるということです。
そりゃそうですよね、魔法じゃあるまいし、一回何かやってずっと何でも解決するというものでもないだろうと。
また、『ブルー・オーシャン・シフト』で紹介されている顧客の効用マップや6つのパスは、あくまで一般的な視点を提供するためのものであり、業界や企業によってカスタマイズしても構わないそうです。これは、チャン・キム教授に直接確認をしました。
というわけで、『ブルー・オーシャン・シフト』は読めば読むほどしっかりできています。その使い方も、上記で述べたよう結構フレキシブルです。本書で紹介される各ツールは分析以外にも、経営陣や社員の間の明確なコミニュケーションツールとしても使ってほしい、というのがチャン・キム教授の強い思いです。
すでに多くのビジネスパーソンが「ブルー・オーシャン戦略」という用語は知っていると思いますが、ぜひその認識をアップデートして頂ければ幸いです。
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