欧州高級車メーカーのEVはテスラに迫れるか 2019年から集中投入も性能横並びで激戦必至
「テスラの実力は、既存のメーカーの電気自動車(EV)が出そろってみないとわからない」。2012年、アメリカ・シリコンバレー発祥の新興メーカー、テスラが他社に先駆けてSUV(スポーツ多目的車)のEV「モデルX」を発表した頃、自動車メーカーの幹部や業界関係者は、しきりにこう発言していた。
フランスのパリで10月14日まで開かれているパリモーターショー2018には、「メルセデス・ベンツ」を展開するダイムラー、ジャガー、アウディなど、欧州のプレミアムカーメーカーによる初めてのEVが出そろった。モーターショーが開かれたパリはガソリン車やディーゼル車の2030年までの販売・乗り入れ禁止を打ち出している。ドイツも同様の方針で、欧州では脱内燃機関の流れが急速に進む。現地メーカーのEVはひざ元でどのように受け入れられるのか。
メルセデスのEVは日本にも導入へ
来場者の注目をひときわ集めたのが、9月に発表されたばかりのメルセデス・ベンツ初の市販EV「EQC」だ。4輪駆動(4WD)のSUVモデルで前後にモーターを1つずつ搭載する。満充電での航続距離は450kmで、急速充電では80%までを40分で充電可能。2019年の欧州を皮切りに、2020年には米国で発売を開始する。日本でも「2020年をメドに導入する方針」とメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長は話す。価格は未定だ。
ダイムラーは2016年にメルセデス・ベンツの電動車両ブランドとして「EQ」を発表。これまでプラグインハイブッド(PHV)車や48Vマイルドハイブリッド(HV)車、ディーゼルハイブリッド車、燃料電池プラグインハイブリッド車など、さまざまな電動車両を市場投入してきた。「スマート」ブランドを除けば、意外なことにEVの市販は初めてだ。
フォルクスワーゲン(VW)グループのアウディは「e-tron 55 quattro」の市販化を発表。こちらもEQCと同じく2モーターの4輪駆動SUVだ。航続距離は400kmで急速充電は30分での80%充電に対応している。販売は2019年前半を予定する。
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