ジャガーのEV「I-PACE」はテスラと何が違うか ラグジュアリーEVの激戦がついに始まった

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SUVルックのジャガー「I-PACE」(写真:ジャガー・ランドローバー)

ポルトガル・ファロで開催されたジャガー初の量産EV(電気自動車)「I-PACE」(Iペイス)の国際試乗会に参加した。ジャガーのEVといえば昨年、往年のスポーツカーである「Eタイプ」をEV化した「Eタイプゼロ」を1台のみ製作し、話題を集めた。その車両は先日ヘンリー王子とメーガン・マークルさんのロイヤルウェディングにも使われたのでテレビ中継でご覧になった読者も少なくないだろう。

今回のIペイスはそれとはまったく別の量産モデル。現状、テスラが寡占するラグジュアリーEVマーケットに、老舗自動車メーカーの先陣を切って割り込もうとしている。

フロントにエンジンがないからこそのスタイリング

既存モデルの“EV化”ではなく専用ボディのブランニューモデルとして開発されたIペイス。クロームで縁取られたフロントグリルや「J」の文字を重ねたようなヘッドランプユニットなど、顔つきこそ新世代ジャガーの約束事を守っているが、シルエットはまったく新しい。ロングノーズ、ショートデッキの古典的なカッコよさとは真反対の、キャブフォワード(乗員スペースが前の方にある)の未来的なスタイリングで登場した。フロントにエンジンがないからこそ可能なデザインだ。

全長4682m、全幅2011mm、ホイールベース2990mmと、長さのわりに幅広く、前後オーバーハングが短い。目指す容量(性能)を確保するだけのバッテリーを敷き詰めるのにこれだけの“床面積(全幅✕ホイールベース)”が必要だったのかもしれない。バッテリー容量は日産自動車のEV「リーフ」の2倍強に相当する90kWh。テスラには75kWhや100kWhなど、複数の容量が設定されるが、Iペイスは現状1種類。ただしバッテリー容量を減らして価格を安く抑えるのに技術的なハードルはないため、今後、より容量の少ないバージョンが出る可能性のほうが高いのではないだろうか。

前後の車軸に1個ずつ同じ性能の電気モーターが備わり、4輪を駆動する。前後トルク配分は50:50を基本とし、必要に応じて可変する。システムとしての最高出力は400馬力(ps)、最大トルクは696N・mというハイパワーを誇る。

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