21歳「フェンシング女子」が描く2年後の進化 宮脇花綸がアスリートとして生きる決意

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一方、戦略面での意見の食い違いから、試合中にボアダン氏と周囲が心配するほどの口論を繰り広げたこともあるという。だが、「それは信頼関係があるからこそできること」とまったく意に介さない。

「私の場合、納得がいかなければ、自分の意見を主張するんです」

その負けん気の強さも彼女の魅力だ。

徹底した自己分析がもたらすもの

宮脇花綸という選手は身体も小柄で、決してスピードもパワーもあるというわけではない。彼女の強みであり、彼女が世界と戦えるようになった源泉は、以前から続けてきた徹底的な自己分析にある。

驚くべきことに、彼女は中学生の時に、自分の体を使って、フェンシングの動作を研究したり、日本滞在時と海外滞在時の睡眠を比較したり、昼寝の効果を研究していたという。

誰にも負けない明晰な頭脳や、試合の流れを読む力、駆け引きを駆使して、持てる力を最大限に発揮する。当たり前のことのようだが、徹底した自己分析ができていなければ、自分の強みを発揮することはできない。

そんな宮脇が世界を制するうえで、越えなければいけない壁がある。ロシアのイナ・デリグラゾワ選手だ。ワールドカップグランプリ上海大会の決勝で敗れた相手、そして、2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得し、今もなお、トップの座に君臨している絶対王者である。

どう立ち向かっていこうと考えているのか。

「今シーズン、2度対戦して、2度とも負けてしまっていますが、決して相性が悪いわけではないと思っています。やりづらいという感覚もありません。ただ、彼女はとにかくズバ抜けて強い。来シーズンは、その圧倒的な差をどうやって埋めていこうかという段階に入ります」

宮脇 花綸(みやわき かりん)/フェンシング女子日本代表選手。1997年2月東京都生まれ。5歳からフェンシングを始め、2016年にはジュニアのワールドカップで優勝。今年5月グランプリ大会で準優勝。8月のアジア大会で団体優勝。種目はフルーレ。慶應義塾女子高を経て現在、慶應義塾大学経済学部4年(撮影:佐藤主祥)

以前、宮脇はフェンシング競技に生きることを、「日本のトップに立っても、それで食べていけるわけではない、ハイリスク・ローリターンな世界」と表現していた。

だが、東京オリンピックを目の前に控え、「いまはもうフェンシングのことしか考えていない」と言い切る。

いま確実に、23歳となって迎える東京オリンピックでの金メダルを視界にとらえている。

徹底した自己分析の積み重ねで、世界と勝負できるフェンサーに成長した宮脇花綸。

この先もアスリートとして生きていくんだという強い覚悟を身にまとい、東京で金メダル獲得を誓うフェンサーは、今年、どんな飛躍を見せてくれるのだろうか。

(文中一部敬称略)

瀬川 泰祐 ライター

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せがわ たいすけ / Taisuke Segawa

1973年生まれ。北海道出身。エンタメ業界やWeb業界での経験を活かし2016年よりフットサルを中心にスポーツ分野のライティング活動を始めている。モットーは、「スポーツで繋がる縁を大切に」。

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