21歳「フェンシング女子」が描く2年後の進化

宮脇花綸がアスリートとして生きる決意

今年のアジア大会決勝での宮脇花綸(写真:松尾/アフロスポーツ)

宮脇に明らかな変化が起きたのは2018年5月に上海で行われたワールドカップグランプリ大会だった。

それまでベスト32の「見えない壁」に弾き返され続けてきた若きフェンサーは、勢いよくその壁を突き破ると、欧州勢の強豪を次々と退け、一気に決勝の舞台まで駆け上がっていったのだった。

「ずっと、感触はあった。あの時は身体の調子も心の調子も、組み合わせも、すべてが合致したタイミングだったんだと思います」

もう一つ、宮脇には大きな変化があった。

「フレッシュという技を得意技にしたい」

フレッシュとは、足を踏み出して突くのではなく、相手に向かって走り込み、体を伸ばしながら突く攻撃技のことだ。身体が小さい宮脇の場合、普通に足を踏み出して剣を出しても、相手に届かない場合がある。フレッシュの場合、背が高い相手の懐に飛び込んで攻撃ができるというメリットがあるため、自分の特徴を生かせると考えたのだろう。

改めてフレッシュに取り組んでいる現状を聞くと、「すでにフレッシュは得意技と言えるようになりました。今、課題に感じていることは、攻撃力が高い相手に攻め切られてしまうことです。

そういう相手に対して、相手が攻撃する前に、自ら攻撃を仕掛けていくようなことを考えています。たとえば、フレッシュを出すタイミング。試合開始直後からフレッシュを出すことにもチャレンジしていきたい」

これができるようになれば、試合開始から相手が警戒するため、それも駆け引きを有利に展開できる要素になるというわけだ。

メンタル面の変化がキッカケ

今年に入ってからの急激な成長ぶりについて、何かキッカケがあったのだろうか?

今年9月のインタビューで自分自身の変化を語った宮脇花綸(撮影:佐藤主祥)

彼女は、真っ先にフランス人コーチの名前を挙げた。2016年のリオ五輪で、フランス代表のヘッドコーチを務めていたボアダン・フランク氏だ。彼が日本代表女子フルーレ統括コーチに就任したのは、2017年1月のことだった。

「日本人選手には技術はあるが、スイートだ」

就任直後、ボアダン氏は日本代表メンバーに対してそのメンタル面の甘さを指摘した。宮脇自身も、試合になると思い切ってプレイできない、持っているものを出し切れないという課題があることは自覚していた。

それまで決定的に欠けていた、闘争心や、勝敗を決める局面での精神面の強化を刷り込まれていった結果、宮脇は大きく成長することができたという。

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