ページビュー至上主義にモノ申す! 炎のネットニュース編集者がPV争奪戦に吠えた
22文字だけの最終ページ
――どんなところに疑問を感じますか。
適切な長さなら構いませんが、極端な短さでページ分割をしているのは、いただけません。たとえば、あるスポーツ新聞系ニュースサイトでは、記事を100文字ごとに次のページに分割していて、最後のページにたどり着いたら、22文字しかなかったことがありました。
何の取材力もないサイトが、どこかの週刊誌やブログなどからネタを拾ってきて、それを基に記事をつくっているケースも、「それでいいのかな」と思うこともあります。ネットには紙媒体やテレビと違って、見出しだけで何とかなる要素がある。「写真の拡大をクリック」で誘導することで、PVを余分に稼ごうという仕掛けも同じで、PVには悪魔の誘惑があります。いったんそちらへ行ってしまうと戻れない。
結局、PVを稼げるコンテンツは芸能、スポーツ、エロ、「冷蔵庫に入るバイト」のような悪ふざけなど。下世話であればあるほど取れます。ネットの現状は一般人が想像できないほど下世話で、人間の正直な気持ちが反映されるものです。そして、ネットユーザーが何に反応するかといえば、テレビに出てきたことです。トレンドワードなどの上位はテレビに出たワードばかりです。
――大手メディアや特徴のある紙雑誌のサイト運営者からすると、PVの質をもっと評価してもらいたいという声もあります。
その言い分はわかりますが、ネットの世界では意味がありません。1PVは1PVでしかなく、そこに質は関係がない。現状の指標がそうなっている以上、そこに合わせることしかできないです。
――特に雑誌社などがそうですが、ネットでPVを追うことに抵抗がある、既存の紙メディアも少なくありません。
雑誌社は社内の紙文脈との戦いがある。PV獲得競争に入っていくのであれば、ネット事業をやる人たちの社内の政治力もポイントですね。社内のネットに詳しくない役員を納得させなければならない。