川上量生「ビジネスはネトゲよりも簡単だ」 よくできたゲームのほうがずっと難しい
吉田:自分のモチベーションが、どういうときに上がるのか知っておくのが没頭への近道だと思うんですが、まさにそれを実践しているんですね。スポーツ選手なんかは競技中にゾーンに入るとすごくいい結果を残せたりするので、ジャンキーのようになってしまうこともあるそうです。ただ、僕自身はゾーン中毒というのは悪くないようにも思うんです。結果よりもゾーンに入る=没頭することが、人生を楽しく生きるためには重要なのかなと。
川上:でも、ゾーンって入ると後悔すること多くないですか。僕もオンラインゲームにはまると、3日3晩飯を食わないでプレイしたりするんですけど、最後には肩が凝ったり頭痛がしたりして……。だいたい身体的限界で倒れてしまう。
ただエゴサーチの場合、している最中から本当に死ぬほど後悔するんですけど、ゲームの場合は、やっている最中はめちゃくちゃ楽しいんですよ。なので本来、そこに後悔する要素はまったくないはずなんです。だけど、終わったときには「もう絶対にやるもんか」と思うんですよね(笑)。
吉田:その場合の後悔って、ネットゲームを3日3晩やって時間を無駄にしたっていう後悔ですか? それともフィジカルにダメージがきていることの後悔なんですか?
川上:フィジカルのダメージがやっぱり大きいですかね。やっちゃいけないことをやってしまった……という後悔。
ビジネスは「よくできたゲーム」よりも簡単
吉田:振り返ったときに、楽しかったよりも後悔のほうが大きくなるわけですね。
川上:そうなりますね。たとえばネットゲームをやるときって、ある大きな目標を掲げていると思うんです。テクニックを上げるとか、あるレベル以上の成績を出したいとか。で、3日3晩プレイして肉体的な限界で倒れたときに、僕はこのゲームで自分が極めたい領域までは行けないなと思うわけです。自分が到達できないことに挑戦してしまったというのは、すごい無駄をしてしまったと感じますね。
吉田:どうせやるなら結果を出したい、出せるゲームをしたいということですね。
川上:そうそうそう(笑)。
吉田:しかも川上さんの場合、ビジネスというゲームだと結果は出るわけですからね。
川上:よくできたゲームに比べてビジネスは簡単ですよ。ルールが明確に固定されたゲームは、どんどんそのルールに最適化してくる人がいるので、なかなか勝てません。
それに比べるとビジネスは簡単。なぜならルールが明確ではないから。現実のルールって、実はみんなが勝手にできないと思い込んでいるだけのものが多いんです。いわゆる社会的なバイアスですね。固定観念として「これはできない」と思い込んでいることが多い。そこを打ち破っていけば、ビジネスで勝つのは簡単です。