「自動運転×ライドシェア」が次世代自動車産業において重要であるのは、導入当初は必然的にコストが高い自動運転車を自家用として商業化するのは困難と見られている一方、ライドシェア会社であれば多くの利用者を対象として稼働率を高めていくことで比較的早期に収益化可能であると考えられているからである。
また世界的に進展しているシェアリングの動きからも、ライドシェア会社が「自動車はシェアして利用するもの」という価値観を急速に定着させてきている。
近年、世界規模での地球温暖化を意識させる出来事が頻発するうえ、今後は「もっと暑くなる」という事態が進行している。特に2018年においては世界的に最高気温の記録を更新した地域が相次いだ。環境保護やサステイナビリティの動きは、世界的な異常気象により、もはや多くの人たちが身体感覚的に必要だと考える水準にまで高まりつつある。エネルギーを化石燃料からクリーンエネルギー中心に変革し、モノの利用ではシェアリングを進めるといった動きは、今後さらに拍車がかかると予想される。
輸送手段をすべてネットワーク化する会社
米国においてライドシェア会社は、「トランスポーテーション・ネットワーク・カンパニー」と呼ばれている。現在提供している自動車ライドシェアサービスを基点として、航空機、鉄道、地下鉄、バスなどの輸送(トランスポーテーション)の手段をすべてネットワークすることが期待されている呼称。米国社会においてそのようにとらえられているのがライドシェア会社なのだ。
将来的には、ライドシェアの対象範囲には、自動運転車のみならずオートバイや自転車なども含まれてくるだろう。むしろ、自転車シェアリングなど、より小さな乗り物からおさえ、そこから飛行機、鉄道、バス、クルマなどすべての交通手段を統合し管理する企業が、真のトランスポーテーション・ネットワーク・カンパニーになるかもしれないのだ。
筆者は、2社の提携は、トヨタとソフトバンクが連携して、日本においては将来的にみずからがトランスポーテーション・ネットワーク・カンパニーとして総合的なモビリティサービスを提供することが最終目的なのではないかと予想している。
最後に、国土交通省が9月14日に公表した9年後にできるリニアモーターカーのための品川駅西口前広場、「次世代型交通ターミナル」構想図には、はっきりと「自動運転」と「シェアリングを基本とした次世代モビリティ」と明記されていることを述べておきたい。
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