「トヨタ×ソフトバンク」誕生の大きな意味 「自動運転×ライドシェア」が世界を変える

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同日午後、筆者は自動運転セクションのトップバッターとして、「『AI×自動運転』のビジョン・テクノロジー・戦略」という演題で、その後は、日本の自動車メーカーなどが自社の自動運転テクノロジーの現状についてそれぞれ講演を行った。

あえて辛らつな表現をすれば、「AIディープラーニングのNVIDIAに対して、手や足で開発プロセスを行っている日本の自動車メーカー」という構図を感じ取った。開発プロセスが分断され、それぞれのプロセスは人がマニュアルでつなぎ合わせなければならない一部の日本の自動車会社に対して、プロセス全体をデジタル化させているNVIDIA。自動運転テクノロジーももはや破壊的な段階に入ってきているのだ。

次世代自動車産業「最大のカギ」はライドシェア

トヨタとソフトバンクの提携発表においては、「2社ともにライドシェア会社である、ウーバー、ディディ、グラブに出資してきた」ことが再三強調され、ライドシェアが提携の大きなポイントになってくることを感じさせた。

日本の多くのメディアではライドシェア会社を「配車サービス会社」と訳すことが多い。一方、筆者はライドシェア会社を、「テクノロジー企業」であり、「ビッグデータ×AI企業」ととらえている。それ以上に、ウーバーやリフトのようなライドシェア会社は、「所有からシェア、そして都市デザインを変革する」ことを使命として事業展開してきた。

そもそもライドシェアとは、自家用車を「相乗り」、つまりシェアリングする仕組みのこと。一般の人が自分の空き時間を活用して移動したい人を運ぶ、アプリを使った決済、SNSによるドライバー評価のシステムなどがビジネス上の特性である。日本の国土交通省はタクシー業界からの反発を受けてライドシェア解禁を「慎重に検討する」としている

が、米国や中国では社会実装が進行。すでに米国では「タクシーよりもウーバー」が常識。ウーバーの企業価値は7兆円を超えているとも言われている。

ライドシェアサービスは、アプリでドライバーの経歴や評価を確認できることから、障害者にとっても安心できる交通手段であるとして、障害者の自立に大きく貢献しているとの事例も報告されるなど、単なる輸送サービスにとどまらない情緒的価値、精神的価値まで提供しているのだ。

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