20代で借金2000万の男がTシャツに見た希望 少年時代の熱中に「稼ぐ力」の源泉があった

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「コアチョコの今があるのは、彼のおかげですね。現在では、始めた頃から比べると信じられないくらいの売り上げがあります。ただそれでもまだ怖いです。現在、安定はしてるけど気は抜けないです。潰れずにずっと食っていきたいですね」

販売が忙しくなると人を雇わなければならなくなる。人を雇うと固定費がかかる。

Tシャツは繁忙期がとても偏っている。暖かい季節は売れるが、冬は売れない。バランスを取るのが難しい商売なのだ。

店内

「あと、Tシャツのデザインを人に任せることができないんですよね。商売をするうえではほかの人に仕事を任せるのも大事とは理解しているんですが、どうしてもデザインだけは他人に任せられないんです」

宗方さんがデザインに使っているパソコンやソフトは特別なものではないので、表面上まねすることはすぐにできる。

だが宗方さんのデザインは、小学校時代からのさまざまな経験の積み重ねのうえで成り立っていると思う。

「たとえば弟子を作ってデザインをさせるとして、僕と弟子では見てきたものが違うじゃないですか? だけど俺が見てきた映画や漫画を全部見ろっていうのも難しい話だし、意味もないと思う。

もちろん新しい世代には新しい世代の良さがあるんでしょうけど、それでも“コアチョコのTシャツのデザイン”としては違うと思うんですよ。だから俺は一代で終わるのかな?後継者は作れないのかな?って考えます」

ただ後継者を考えるのはまだ先の話だ。

事業をワールドワイドに展開したい

現在はより会社を大きくしていきたいと思っている。アジア圏やアメリカをコアチョコのマーケットにするため、現在具体的に動いている。

「またTシャツ屋とは別に、自分の飲食店を持ちたいって夢もあるんですよね。たとえば大衆的な鉄板焼き屋を作って、安価でコース料理が食べられるお店ができたら楽しいな、とか……。そういうお店で、今仕事が見つからない友人に働いてもらえないかな?って思ってます。おこがましいですけど、困ってる友人たちを救済できないかな?って気持ちもあります」

事業をワールドワイドに展開しつつ、反面、足元はしっかり見据えている。

友人や仲間を大事にして地盤をしっかり固めたうえで、会社を大きくしていくスタイルは、見ていてとても安定感があるように感じた。

借金を地獄のどん底の中であがく中で生まれた1つのTシャツ屋が、世界を舞台に活躍すると思うととても感慨深かった。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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