中国が躍進「鉄道見本市」、実車展示で存在感 「カーボン製車両」に欧州鉄道関係者も注目
2016年の会場ではその躍進ぶりがひときわ目に付いた中欧メーカーだが、今回はそれほどの勢いはなく、車両展示など大々的に参加していたのはチェコのシュコダとポーランドのネヴァグが目立った程度だった。
前回は車両展示を含めてかなり注目を集めていたポーランドのペサは、9月24日付の記事「東欧鉄道メーカー苦戦に忍び寄る『中国の影』」で紹介したとおり、経営が悪化したことで、今回は車両の展示がなかった。会場では現況についての説明が行われ、国営投資会社PFRが買収するにあたっての最終的な調整が進められ、今後数週間以内にすべての状況が確定すると発表されている。ペサの社長は、ポーランド市場は引き続き重要であると前置きしつつ、ドイツなど諸外国への輸出を拡大していきたいと述べた。
そのペサに取って代わる形で展示を行ったのが、ロシアのPCトランスポート・システムズという会社で、モスクワ向けトラム2車種を展示していた。ロシアと言えば、貨車製造大手のトランスマスが有名だが、トラムの展示は珍しいと言える。
「ビッグスリー」は車両以外で存在感
前回、車両製造の分野ではヨーロッパ勢の中で「ビッグスリー」に代わって大きく躍進した印象を植え付けたスイスのシュタドラーは、今回も元気いっぱいだった。屋外展示場には、機関車、近郊列車、都市間列車など実に7車種が展示され、他社を圧倒していた。屋内商談ブースにも、多くの人が訪れ、終日賑わいを見せていた。
一方のビッグスリー、もはや「かつてのビッグスリー」と呼ぶべきであろう存在のボンバルディア、シーメンス、アルストムの3社は、車両製造という部分に関してはシュタドラーや中欧系メーカーより積極的ではないという印象を受けた。だがこれは見方を変えれば、車両のみならずインフラなどを含めた、鉄道システム全体に関して総合力を持つ、3社の強みの表れと考えることもできるだろう。展示も、車両よりシミュレーターや運行システムといった、オペレーション関連が多い印象を受けた。
やはり今回、もっとも大きな躍進を遂げたのは中国企業であろう。スペース確保が間に合わなかったのか、ドイツやフランス、日本のように、自国企業が一堂に会したパビリオンのようなブースは設営されなかったが、各企業が国旗と同じ真っ赤な中国鉄路展団(中国鉄道パビリオン)という看板とともに各所で展示を行っており、これが逆に中国企業の存在を目立たせる要因ともなっていた。
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