中国が躍進「鉄道見本市」、実車展示で存在感 「カーボン製車両」に欧州鉄道関係者も注目

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今や世界最大の車両メーカーとなった中国中車のブース(筆者撮影)
ハンブルクSバーン向けのハイブリッド入換ディーゼル機関車。中国中車が西欧の鉄道へ車両を納入した初の事例ということで注目を集めていた(筆者撮影)

中国企業の中でも、やはり圧倒的に目立つ存在は鉄道メーカーとして世界一の規模を誇る中国中車で、ボンバルディアやシュタドラーなどと同じ建物の中に大きなブースを構えていた。屋内展示は、時速350km運転を実現した同社自慢のCR400AF型の模型が、ブース正面の一番目立つ場所に展示された。

何より注目すべきは、中国中車が初めて、イノトランスで実物車両の展示を行ったことだ。1両は、ハンブルクのSバーン(郊外電車)の車庫で使用されるハイブリッド入換用ディーゼル機関車で、同社にとって西欧諸国への鉄道車両納入第一号とあって、現場にいたスタッフは来場者から質問攻めに遭っていた。

カーボン製車両に大注目

中国中車が展示したフルカーボンボディのコンセプト車両CETROVO。終日来場者で賑わい、写真撮影は困難を極めた(筆者撮影)

そして、もう1両は同社が次世代地下鉄車両と位置付ける試作車両、CETROVOであった。この車両の注目すべき点は、車体にカーボンファイバーを採用したことだ。川崎重工業が、カーボンファイバーを用いた台車、efWINGを開発したことは記憶に新しいが、CETROVOはボディ全体がカーボンファイバー製なのだ。あくまで試作車両であり、モーターショウで言うところのコンセプトカーのようなものではあるが、おそらく全展示車両の中で最も注目を集めていたことは間違いない。

過去のイノトランスでは、展示車両の床下を覗き込んだり、各部品の写真を撮影したりする中国人を会場でよく見かける、などと多少冷ややかな感じで言われていたが、今回は完全に立場が逆転。このCETROVOには多くの西洋人が訪れ、ボディを叩いたり床下を覗き込んだり、というシーンを頻繁に目撃した。展示車両は常に人で溢れ、まともな写真撮影ができないという状況が終日続いた。

これまで中国製品は、技術的にまだまだ発展途上であることや、品質面において日本や欧州系メーカーに一歩劣るというイメージを持たれていた。実際、中国中車は世界一の規模ではあるものの、生産の9割以上は国内向けで、海外輸出の割合はわずかという現状がそれを物語っている。今回のイノトランスにおける展示で、はたしてそのイメージを払拭することができたのか、とても気になるところだ。

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