香港と中国本土を結ぶ「高速鉄道」期待と懸念 交通一体化で利便性向上、自治の面で反発も

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深圳北駅に停車するMTR(香港鉄路)の高速列車「動感号」(手前)と、中国鉄路の「和諧号」(筆者撮影)

中国本土と香港を結ぶ「広深港高速鉄道」が9月23日に全線開業した。

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この高速鉄道は、中国の国家戦略プロジェクトである広東省・香港・マカオを一体化し結び付けるグレートベイエリア(粤港澳大湾区)構想の重要な交通ネットワーク政策として建設が計画され、2009年に着工した。

起点となる広州南駅―深圳北駅間116kmは2011年12月に開業。今回開通したのは残りの西九龍駅―深圳北駅間26kmで、同区間はほぼ地下を走る。全線開業により、香港紅磡(ホンハム)駅―広州東駅間を結ぶ在来線では約2時間かかる香港と広州の間は、西九龍駅―広州南駅間約47分と大幅に短縮された。

上海や北京にも直通列車が

開業前日の22日には、西九龍駅で香港特別行政区主催の開業記念式典が盛大に開催された。林鄭月娥長官をはじめ、陳帆運輸・住宅局長、馬時享MTR(香港鉄路)主席や、中国側からも広東省の馬興瑞省長ら多数の要人が参列した。

林長官は「香港が中国の高速鉄道網に加わることにより、グレートベイエリア地区だけでなく、首都北京や上海などとの経済圏と人と物流がつながり、より中国との協力関係に貢献するだろう」とあいさつした。

初日乗車の乗客とMTRの幹部ら(筆者撮影)

列車の運行は深圳北、広州南行の短距離列車が1日70往復~多客時114往復、上海、北京などへの長距離列車は1日13往復設定され、1日あたり8万100人の利用者が見込まれている。西九龍―深圳北間の途中駅は福田駅のみで、深圳北駅から先は光明城、虎門、慶盛の3駅を経て広州南駅に至る。深圳北駅、広州南駅はともに高速鉄道専用駅で、街の中心よりやや離れているが、どちらも地下鉄で中心部へのアクセスが可能だ。

西九龍駅から深圳北までの所要時間は約19分。列車は全席指定制で、運賃は普通車の場合深圳北まで86香港ドル(約1290円)、広州南まで215香港ドル(約3220円)となっている。ただし、運賃の設定は中国人民元建てとなっており、人民元と香港ドルの為替レートを毎月調整して金額を決定するそうだ。

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