東京医科大「差別入試」に損害賠償請求の動き 消費者団体が受験料の返還を求め団体訴訟へ
消費者団体訴訟制度における差止請求は、消費者契約法に基づき、2007年6月からスタートした制度で、消費者被害の未然防止、拡大防止を進めるために創設された。この制度の運用は、内閣総理大臣から認定を受けた適格消費者団体が、差止請求訴訟を提起する権利を背景に、事業者に不当な勧誘行為や不当条項の使用、誤認表示をやめさせる「差止請求」の申入れを行うものだ。
「消費者契約法」や訪問販売など消費者トラブルを生じやすい特定の取引を対象とした「特定商取引法」や不当表示を規制している「景品表示法」も差止請求の対象が定められ、「食品表示法」の虚偽表示も差止の対象となった。
2016年10月からは、消費者裁判手続特例法の施行により、消費者トラブルを救済する新しい「被害回復」の制度が始まっている。
今までの「差止請求」では消費者被害を直接的に回復することができなかったが、事業者の不当な行為により、同じ原因で消費者が数十人程度被害を受ければ、適格消費者団体のうち一定の基準を満たし、内閣総理大臣から認定を受けた「特定適格消費者団体」が、消費者に代わって金銭的な被害回復を図る「消費者被害回復訴訟」を提起することができるものだ。
東京医科大の回答期限は10月5日
消費者機構日本は、すぐに訴訟に移行するのではなく、東京医科大の自主的な行動をまず求めている。9月19日に送付した申入れ書に書かれた申入れ事項と問合わせ事項内容を説明すると以下の通りだ。
○平成29年度の医学部医学科の一般入試の女性及び浪人生に対する得点調整の方法について明らかにすること。
○医学部医学科の一般入試において浪人生であるか否か、及び浪人の回数について、どのように判定していたか明らかにすること
東京医科大の回答期限は10月5日だ。10月4日午前の時点で、まだ東京医科大からの回答はない。さらに、消費者機構日本は9月21日に要請書も送付している。
今後の対応が注目されるなか、7月に理事長と学長が辞任した東京医科大学は、次期学長に病態生理学の林由起子主任教授が同大で初めて女性として選出され、10月1日付で就任している。
公正・公平にやるべき入試がゆがめられた今回の事態。大学の誠意ある対応が求められる。
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