「お友達重視」「派閥均衡」…安倍人事の問題点 甘利氏の選対委員長起用には懸念の声も

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首相は2日午前の党総務会で党4役を軸とする役員人事の了承を得た。それを受けて政府は昼前の閣議で閣僚の辞表を取りまとめ、首相と山口那津男公明党代表による与党党首会談を経て改造人事を進め、午後1時過ぎに菅官房長官が閣僚名簿を発表した。

これまでの安倍政権での人事と同様に、首相サイドの「情報リーク」などから2日付け朝刊や同日朝のテレビ各局のニュースは揃って「入閣予想リスト」を報じ、新体制もほぼ報道通りの顔ぶれとなった。

まず、党・内閣人事では注目されがちな「目玉」や「女性」についても、今回はほとんどサプライズがなかった。

「国民的スター」の小泉進次郎氏の入閣は、総裁選で石破氏に投票したためか、見送られた。筆頭副幹事長の再任も小泉氏自身が断ったとされる。同氏周辺は「初心に戻っての再スタート」と説明するが、来年の統一地方選、参院選での最強応援弁士との位置づけは変わらないだけに、党執行部も「応援演説のサポート」など、一定の配慮を続けるとみられている。

唯一の女性閣僚は片山さつき氏

一方、地方創生・規制改革担当相に抜擢された片山さつき元参院外交防衛委員長は唯一の女性閣僚であり、「目玉」でもあるが、党内では「期待と不安」が交錯する。

今回は唯一の女性閣僚となった片山さつき地方創生相(写真:ロイター/Issei Kato)

2005年の小泉純一郎首相(当時)による郵政解散で「女刺客」として出馬、初当選したが、次の衆院選で落選し、参院に転じた。高校時代から「成績抜群の天才少女」の誉れ高く、東大法学部を経て大蔵省(現財務省)入りした際は「初の女性事務次官を目指す」と意欲を語ったとされる超エリートだ。

ただ、舛添要一前東京都知事との結婚・離婚で話題をふりまき、政界入り後も「さまざまな尖った発言」がネットで炎上するなど、トラブルメーカーとしても知られ、政界でもいわゆる"色物"扱いされてきた。2日午前に「首相から発信力を活かしてほしいといわれた」と明かした片山氏だが、今回の入閣については、朝日新聞が2日付け朝刊で「厚労相」と報じて「お詫びと訂正」記事を出すというおまけもついた。

安倍政権の売り物でもある地方創生担当だけに、「失言や暴言で内閣の火薬庫となる」(自民長老)との不安が拭えない。

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