ようやく開場する「豊洲新市場」の3つの難題 総投資約6000億円、関係者からは不安の声

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都は高度で効率的な物流機能を豊洲市場最大の利点の1つに挙げているわけだが、開業早々からその物流面で試練に直面する可能性がある。

② 止まらない取扱高の減少傾向

豊洲市場にとり中長期的かつ最大の難題といえるのが、取扱高の減少傾向にどう対処していくかだ。

築地市場の水産物と青果を合わせた取扱高(重量ベース)は2002年には約101.4万トンだったが、2017年には64.7万トンと15年間で36%減少している。水産物に限れば、63.7万トンから38.5万トンへ40%の減少だ。

金額ベースで見ても、水産物・青果合計で2017年が5157億円で2002年比18%減、水産物のみでは2017年は4277億円で2002年比20%減となっている。こうした減少傾向は他の中央卸売市場である足立市場や大田市場などでは一段と加速しているのが実情だ。

魚介類の消費量はピーク比4割も減少

背景にはまず、人口の高齢化や食生活の変化などに伴う消費量の減退がある。農水省の調査によると、国民1人当たりの魚介類の年間消費量は2001年度の40.2キログラムをピークに2016年度は24.6キログラムまで4割近く落ち込んでいる。1人当たりの野菜の年間消費量も2001年度の101.5キログラムと比べ、2016年度は89.0キログラムと12%減となっている。今後は人口減少が加速することを考えると、国内の総消費量は減少に拍車がかかる可能性が大きい。

もう1つには、卸売市場を経由しない「市場外流通」の比重拡大がある。農水省の調べでは、国内で流通した加工品を含む国産および輸入の物品のうち卸売市場を経由したものの数量割合を示す卸売市場経由率(重量ベース)は、水産物では1980年の85.5%をピークに2015年には52.1%まで低下している。青果でも1975年の87.1%から2015年には57.5%まで下落した。つまり、国内流通の半分近くが市場外流通になってきている。

市場外流通が増えた要因としては、卸売市場があまり取り扱わない輸入加工品の流通量拡大に加え、産地と小売業・外食業者の直接取引(産直)やインターネット通販、「道の駅」を含めた産地直売所による販売など、生鮮食品の流通チャネルが多元化したことがある。

全国の生産者と提携して青果を集荷し、スーパー内の直売所で受託販売する農業総合研究所(2007年設立)や、全国の産地から仕入れた水産物をネット経由で飲食店向けに販売するフーディソン(2013年設立)などの新興企業も台頭している。ITや鮮度管理などの技術革新が市場外流通の拡大を後押ししているともいえる。

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