東京臨海部の貧弱交通はロープウェーが救う 地下鉄より短時間で移動でき、建設費も安い

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神戸市内の観光用ロープウェー、都市交通にも使える?(写真:アネモネ/PIXTA)
ロープウェーと言われて想像するのは誰もが「観光用」だろう。スキー場を思い浮かべる人も多いだろう。そのロープウェーを東京都心と臨海部の間の交通システムとして導入しようというアイデアがある。
発案者は、交通コンサルタントで『満員電車がなくなる日』著者の阿部等さん。「ダイヤや運行手順の工夫で満員電車は減らせる」という阿部さんのアイデアは、2016年の東京都知事選における小池百合子候補(現都知事)の選挙公約「満員電車ゼロ」のベースになった。
ロープウェーを都市交通にという斬新なアイデアはどのようなものなのか。阿部さんに聞いてみた。

――まず、東京の臨海部の交通状況について教えてください。

日本全体の人口が減少に転じた中、東京の臨海部にはタワーマンションが林立し、今後しばらく人口も来訪者も増え続けます。1998年から2018年の20年間に、中央区の人口は7万人から14万人に、江東区は37万人から50万人に増え、その増加分の多くが臨海部でした。2020年東京五輪の競技場も多数立地し、晴海にできる選手村は、五輪後には大規模住宅地に転じます。

BRTは計画が遅れている

ところが、交通の貧弱さが臨海部の発展の足を引っ張りかねません。最寄りの地下鉄駅まで15分以上も歩かねばならないエリアも多く、晴海通りの渋滞は激しく、370往復も運行する都バスの速達性・定時性は劣ります。やむなく多くの人が自転車を使い、東京駅が23区最大の放置自転車問題で話題になるほどです。

――交通を改善する計画や構想はどうなっていますか。

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晴海通りと約500m離れて並行する環状2号線は、虎ノ門から新橋、晴海、有明は地下と高架を基本とし信号がほとんどありません。BRT(バス高速輸送システム)の専用レーンを確保すれば相当に高速走行でき、都心―臨海部を短時間で結べ、さらに車両と運転士の回転効率を高くできる分、低コストで高頻度運行ができます。

ところが、環状2号線は、築地市場の移転が延期となり、跡地に建設する新橋―築地―勝どきの開通が遅れ、BRTの計画も遅れています。

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