東京臨海部の貧弱交通はロープウェーが救う 地下鉄より短時間で移動でき、建設費も安い
――環状2号線が開通し、BRTが運行開始すれば臨海部の交通は万全ですか。
そもそも、現在のBRTの計画は、環状2号線が都内のほかの幹線道路と比べ圧倒的に高速走行できるメリットを生かせていません。全通時から専用レーンを確保することで画期的に便利にでき、マイカー利用を抑制できるなど大きな社会的効用を生み出すのに、そのことをうたわず、本来実現できるものと比べ低速かつ低頻度です。高速かつ高頻度に改めることで、都心と臨海部の交通を大幅に改善できます。
BRTが理想的に実現できても、晴海通り沿いなどからは最寄りのバス停までは遠いので、晴海通りにも核になる交通システムが欲しいです。
――どんな交通手段が考えられますか。
1つが「ゆりかもめ」の延伸で、2000年の運輸政策審議会の答申にて、「ゆりかもめ」の豊洲―勝どき間は「2015年までに整備着手することが適当である路線」とされました。しかし、沿線の反対が強く、2016年の交通政策審議会の答申では消えました。
一方、中央区は地下鉄の整備をもくろみ、国や東京都とも調整し、2016年答申に「都心部・臨海地域地下鉄構想」が盛り込まれました。2014、2015年度の同区による調査では、新銀座(銀座への結節にはさらに高い経費)―新国際展示場(ビッグサイト)の約5kmの事業費が約2500億円とされました。あまりに高額で採算性を確保できず、早期に実現できる見通しはありません。
――それでは、どうすればいいですか。
ロープウェーです。地下鉄より、ずっと便利なものを、安く、早く造れます。
駅は車道の上空に設置
JRの有楽町駅と「ゆりかもめ」の市場前駅を結びます。途中駅は、現行の都バスのバス停と同じ銀座4丁目・築地・築地3丁目・築地6丁目・勝どき橋南詰・勝どき駅前・晴海トリトンスクエアと、タワーマンション建設の進む晴海2丁目の8つとし、地下鉄構想の途中3~4駅よりずっと便利にできます。延長3.7km、平均駅間距離500m強です。
――晴海通りに通せますか。
鉄塔と制御装置は、晴海通りの交差点の右折車線のある区間を外し、中央分離帯の邪魔にならない箇所に設置します。ロープウェーの真下を車が普通に走行し、空間を有効活用します。駅は車道の上空に造り、歩道と簡単に行き来できるようにします。
「ゆりかもめ」のような新交通システム、モノレール、首都高と比較し、ロープウェーはスパンを長くでき、密集市街地の幹線道路の上空に導入するのに好適です。スパンの長くなる前後の鉄塔は頑丈に建植しなければいけませんが、新たな用地取得や地下工事と比べれば安いものです。
鉄塔やゴンドラの通る位置を高くすると、工事費と保守費がかさむうえに、トラブル時の避難と救助も困難となるので、通常区間はゴンドラ底面の高さを地上5mくらいとします。隅田川を渡る勝鬨橋だけはアーチの上を高く通し、隅田川を見通せるすばらしい眺望となり、歴史ある勝鬨橋とも相まって最大の注目ポイントとなります。
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