2035年、中国は「スマートカー強国」になるか

政府と民間がタッグで自動運転を積極推進

民間大手の長城汽車は、IT大手の百度と自動運転車の量産を進めることを発表。写真は百度の「Apolong」。(筆者撮影)

中国大手民営自動車メーカーの長城汽車は2018年8月末、高級スマートカー「VV6」をベースに自動運転の開発を進め、インターネット検索大手の百度と2020年に自動運転車の量産を発表した。中国政府も自動車産業政策で、電気自動車(EV)やスマートカーの普及を後押しする。自動運転を応用したスマートカーの開発は、交通事故の根絶を目指すだけではない。次世代交通インフラの基盤を構築するもので、中国がスマートカー強国になるためには必須の取り組みである。このようなイノベーションを伴う自動車産業構造の転換は、日本の自動車メーカーにも重大な影響を及ぼすだろう。

大規模な交通インフラ整備、業界団体設立も

中国では、交通事故による死亡者が年間25万人超、交通渋滞による経済損失が年間約4兆円に上る。自動運転技術の進展は交通事故の減少と交通渋滞の緩和をもたらし、新しい産業の発展と市場の形成も期待させる。2017年6月、中国一汽、百度など98の企業・機関が参加するスマートカー産業の業界団体が発足、中国は官民挙げてスマートカーの研究開発に取り組んでいる。

2018年1月に発表された「スマートカーイノベーション発展戦略」では、2020年に新車販売の50%をスマートカーとし、条件付きの自動運転車(レベル3)を実用化するとしている。さらに2025年に高度自動運転(レベル4)のスマートカーを実用化し、2035年には中国が「世界のスマートカー強国」になる目標が掲げられている。

その目標を実現するため、中国政府は2018年4月に自動運転車の公道試験を認可するガイドラインを施行した。これを受け、中国各地では自動運転車試験場の建設が進められている。

北京では今年2月、初の試験場となる「国家スマートカー・スマート交通実証区海淀基地」の使用が始まった。現在、北京経済技術開発区地域では、2カ所目となる試験場の建設が進行する。上海では2016年に嘉定区にある5.6kmの試験公道を使用開始、年内に浦東新区などの26kmの道路を開放する計画だ。

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