2035年、中国は「スマートカー強国」になるか

政府と民間がタッグで自動運転を積極推進

3つ目の試みは、高精度地図の開発だ。自動運転を実現するためには、クルマの位置特定、環境識別、行動制御が不可欠であり、特に位置特定には、大量の路面データを収集・処理できる高精度地図が必要になる。中国政府は地場企業14社に高精度地図のライセンスを供与する一方、安全保障上の懸念を理由として、外資系企業の参入を厳しく規制している。

現在、中国IT大手3社(百度、アリババ、テンセント、通称BAT)傘下の百度地図(百度)、高徳地図(アリババ)、四維図新(テンセント)が同市場を寡占している。高徳地図が2016年に、地図データ「amapouto」を複数の自動車メーカーに提供することで先行する百度と対抗し、四維図新は台湾聯発科技(IC設計最大手)の子会社を買収して、車載通信関連事業の強化を図ろうとしている。

自動運転技術の開発を急ぐIT大手3社

ここで注目されるのは、BATがITと人工知能(AI)技術を生かし自動運転技術の開発やスタンダードの確立を急いでいることだ。

百度は2017年、自動運転プラットフォーム「アポロ(Apollo)」を公開、2021年には自動運転車(レベル4)の生産を目指す。量産品である「ApolloPilot」には、NVIDIAのセンサー、ZFの車載コンピュータ、モービルアイのカメラ技術が採用された。これらには信号機の識別や障害物の検知などの機能がある。7月末時点、アポロユーザーは1700社に達し、日米欧を含む自動車メーカー116社も参加する。

先行する百度に対しテンセントは「レベル3」の自動運転に力を入れると同時に、算法の開発やデータの収集にも取り組み、2025年には完全自動運転の実現を目指している。2017年発表の「AI in Car」システムには、充電スタンド検索、音声識別、チャットアプリなどの機能が備わり、広州汽車に提供される予定だ。

アリババが2016年に自社OS「YunOS」を実用化。「YunOS」は音声認識、多機能マップ、電子決済サービス「アリペイ」などのネット機能を備えている。昨年末に発売したAIスピーカー「天猫精霊」には、中国語音声による指示を認識する機能があり、音声だけでクルマの窓やドアの開閉、エアコンの操作をすることができる。

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