2035年、中国は「スマートカー強国」になるか 政府と民間がタッグで自動運転を積極推進

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また、中国政府は北京・上海・無錫などの7都市をスマートカー試験のモデル都市に認定し、12都市に合計35枚の公道試験専用ナンバープレートを供給した(9月末時点)。百度、テンセントが複数の都市で試験ナンバープレートを取得したほか、独系のBMW、ダイムラー、アウディも取得し、自動運転市場に早期参入を図っている。

自動運転の実現に向け官民がタッグ

交通インフラの整備だけではない。中国が自動運転の早期実現を目指して民間企業を巻き込んで、3つの試みを始めた。1つ目は、自動運転を中国の「AIシティ」に応用する試みだ。昨年設立されたAIシティのモデル都市である「雄安新区」は、スマートカーによる自動運転を実現すると同時に、道路にセンサーの設置、道路・車両間通信インフラの整備など、都市交通システムのスマート化を目指す。

現在、テンセントやアリババが同区と提携し、ビックデータ・ニューラルネットワークを軸とするインフラ整備を行い、百度は同区で「レベル4」の自動運転車の公道試験を実施する。今後、AIシティの建設が全国に波及するものと予測され、中国交通運輸省公路科学研究院が今年、アリババと共同で自動運転や道路のスマート化の研究に着手した。

2つ目の試みは商用車による自動運転を早期に実現することである。運転の主体がクルマとなる「レベル3」の実用化は、法制度やインフラ整備など課題を抱えるものの、公共施設や特定地域でのシャトルバスや無人物流車の早期普及は可能と考えられる。ネット通販大手の京東商城(JD.com)は2017年に上汽大通・東風汽車と共同で無人トラックによる配送サービスを開発。百度と提携する蘇寧物流は5月、「レベル4」の自動運転大型トラック「行竜1号」の試験走行を実施した。

また、百度が金龍バスと「レベル4」の自動運転バス「アポロン(Apolong)」を開発、年内に日本で実証実験を開始する。金龍バスの日本での商用化が実現すれば、先進国における初めての中国製自動運転車の事例となる。

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