為末大氏「現在進行形の暴力は公表していい」

スポーツ界のパワハラ問題をどう考えるか

為末大氏(写真:週刊女性PRIME)

2018年2月、女子レスリングの栄和人強化本部長による五輪4連覇の伊調馨選手へのパワハラが告発された。この騒動に端を発し、スポーツ界における暴力・パワハラ問題が続々と露呈した。

当記事は「週刊女性PRIME」(運営:主婦と生活社)の提供記事です

「アマチュアスポーツ界には昔からあって、今年になってそれらがやっと表に出てきたんだと思います」

そう話すのは、スポーツコメンテーターであり、企業家としての顔も持つ為末大氏。3度の五輪に出場し、世界大会のスプリント種目で日本人初のメダルを獲得。その冷静かつ客観的なコメントに定評のある彼が、一連の騒動について語った。

「選手がオープンにすると変わるんだ」

「私が知っているだけでも、これまで現役選手が“こういう問題がありますよ”と告発したケースはいくつかありました。それが協会などの上部団体内で共有されて介入したなど、それなりの着地点はあったんです。ですが、今年になって日大の危険タックル問題が起きた。これが大きい気がするんです」

今年5月、関西学院大学との定期戦で日本大学アメフト部の内田正人監督と井上奨コーチが宮川泰介選手に危険なタックルを指示したとして、7月に懲戒解雇された。20歳の現役選手が顔と実名をさらして、記者会見まで開いたことでも話題となった。

「選手がオープンにすると変わるんだ、という期待感が生まれた。今までは、細部はいろいろ変わっても結局、全体的には変わりませんでした。ですが、世論の力で物事を変えられると学んだことが、一連の流れを生んだきっかけになったんじゃないかと思っています」

日本のスポーツ界において、暴力・パワハラ問題はそうとう、根深いのだろうか――。

「5年前、『スポーツ界における暴力行為根絶宣言』が掲げられました。このとき“これが体罰の定義です”というものが発表されているんです。いま話題になっている日本体操協会やJOCはもちろん、いわゆるスポーツ界の協会のほとんどが、この宣言を承認しています。承認してしまっている以上、手を出した指導者は罰せざるをえないというのはあります」

次ページ時がたてば、なじんでくる
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