10~20代が「90年代の服」を着るブームの本質

単なるファッション業界の回帰ではない

ただ、インスタやツイッターなどであこがれの有名人が着ている衣類と似た衣類を着たいと欲望を惹起するなら市場は拡大していい。実際、私もインスタグラマーなどの報道を見ていると、アパレル市場は拡大している印象を受ける。

実際はどうだろうか。

1990年代には国内のアパレル市場は15兆円もあった。しかし、それは2010年には10兆円程度に低迷している。一方、衣類の供給量はかつての年間20億点から同40億点に倍増している。量は増えているのに、市場規模は3分の2になっている。どれだけ単価が下がっているか、そして、衣類にお金を払わなくなった人がいかに増えたかがわかるだろう。

さらにそのあいだに、わたしたちは安価な衣類を求め続けてきたので、メーカーは海外へ工場を移管し、現在では国内供給に占める国内生産の比率はほとんどなくなった。また、その流れは、良くも悪くも、反転しそうにない。

かつてより若者には金がない

なぜだろうか。

拙著『未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038』でも触れているが、私が思うに最も大きな要因は、若者がお金を持っていない点につきる。

実際に、どれだけ若者がお金を使わなくなったかを見てみよう。消費者庁が発行している、「消費者白書」によれば、1カ月当たりの洋服にかけるお金は男性も女性も1999年以降、大きく下がっている。

「東京私大教連」が出している「私立大学新入生の家計負担調査2017年度」を見ると、仕送りの額も右肩下がりだ。入学前後の出費が落ち着いた6月以降の仕送り額を月平均で見ると、1994年度にピークをつけた12万4900円から、2017年度は8万6100円まで急落している。

日本では、半数の大学生が奨学金を含む借金によって学生生活を切り盛りしている。さらに仕送りまで減っている。衣料品を購入しようと思っても、コスパ重視はしかたのない側面があるのではないだろうか。

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仕送り額から家賃を引いてみると、かつては月7万円ほど残っていたところ、現在では月2万4500円しか残っていない。これは、30日で割れば、1日あたり820円にすぎない。

つまり、冒頭であげた、1990年代ファッションの親子間おさがりは、単なるファッション業界の90年回帰や、あこがれの有名人のマネをしたいだけではない。リアルな問題として、かつてより若者には金がない。

そこで中古流通が発展している中で、手軽にハイブランドを入手したり、さらに、親から譲り受けたりすることが“選択”されているのだ。ネットオークションやフリマアプリ、おさがりが流行するのは、必然なのかもしれない。

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