出版不況に爆伸び、レタスクラブの「神会議」 沈鬱編集部を一変させた「素人リーダー」の妙

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ブックインブックとして付録されている「1カ月分の献立カレンダーBOOK」(撮影:梅谷秀司)

徹底的な編集部改革は、もう1つ大ヒット企画を生んだ。毎号、ブックインブックとして付録されている「1カ月分の献立カレンダーBOOK」だ。

月刊化すると同時に付け始め、松田によれば「これを目当てにレタスを毎号買う人もいるほど」。実際メルカリなどでも、献立カレンダーBOOKだけを数カ月分まとめたものが取り引きされている。

献立カレンダーBOOKの最大の価値は、書いてあるとおりに買い物、料理すれば、1カ月分の平日の食事を、食材をムダにすることなく作り回しできることだ。各献立のレシピでは、「こちらを煮込んでいる内にこちらを切り始めましょう」など、並行作業の進め方まで指南してくれる。これらの“かゆいところに手が届く”コンテンツが、料理下手や面倒くさがりの読者はもちろん、生産計画を着実にこなすことに達成感を覚える読者(男性に多い)に刺さっている。

「つねに競合を悔しがらせるものを作り続けたい」

それにしても、ここまでの大変革に以前からレタスクラブの編集に従事していた面々は戸惑わなかったのだろうか。「もちろん、最初の頃には戸惑いがあったようで、議論もあった。ただ、以前の編集部には『こんなに一生懸命やっているのに部数に跳ね返らない』という徒労感もあった。今では、これだけ大々的に変わっていったことが『逆に気持ちよかった』と言ってくれるメンバーもいる」。

これからのレタスクラブについて、松田は「つねに競合を悔しがらせるものを作り続けたい」と話す。今後は広告クライアント向けのプランニングやタイアップ企画に関しても、これまで以上に力を入れていきたいという。「編集やチーム作りで得たノウハウを生かせる場面はまだまだありそう」。松田の挑戦は続く。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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