オバマの演説は「やりたい放題宣言」に等しい

オリバー・ストーン単独インタビュー(下)

オリバー・ストーン氏は、アメリカの映画監督・脚本家・映画プロデューサーとして、知らない人はいないほど著名な人物である。『プラトーン』(1986年公開)、『7月4日に生まれて』(89年)でアカデミー賞監督賞を2度受賞し、他にも多くの作品を残している。
歴史の真実は実際にその時代を生きた人でも知らないことが多い。政府が国民に知られたくないことを別の「真実」で隠蔽したり、否定したり、あるいは国民が納得するであろう理由や言い訳をでっちあげることもよくあることである。
アメリカが単独の覇権を謳歌してきたことを否定する人はいない。しかしその地位を確立する ために、アメリカはこれまで何をしてきたのか。そこに疑問を抱いたストーン氏が、歴史学者ピーター・カズニック氏とつくったのがドキュメンタリー作品の『もう一つのアメリカ史(“The Untold History of the United States”)』である。
私は直接本人にインタビューを申し込み、発言内容をほぼそのまま掲載するという条件で応じていただいた。以下、ロサンゼルスのオフィスで行なわれたインタビューである。
(聞き手、写真:大野 和基<国際ジャーナリスト>) 

<前編はこちら

「やりたい放題宣言」に等しいオバマの演説

大野:オバマ政権は今年9月、化学兵器使用をめぐって予定していたシリアへの軍事介入を中止する決断を下しました。これをどう評価しますか。

ストーン:大きな衝撃を受けました。ブッシュ前大統領だったら、必ず攻撃すると思ったからです。オバマは就任当時、ブッシュの「テロとの戦い」を変えようとする姿勢を見せましたが、実際にはむしろ攻撃する国のリストを大幅に増やし、対テロ戦争を発展させていきました。今回の攻撃中止は、その路線が行き詰まったことの証左だと思います。

現在のテロは、戦略に長けたトップをもつ小さな組織が行なう場合がほとんどです。つまり主体は「国」ではない。にもかかわらずアメリカはグローバルな戦争を展開しています。すべての国を「アメリカに従うか否か」でとらえ、アメリカの行動に反対した国は「敵」とみなす。いわば「グローバルな専制君主」として振る舞ったのです。

オバマは9月24日の国連総会で、「アメリカの核心的利益を守るためには、われわれはどの国にも介入する権利をもっている」と演説しましたが、私はこれを聞いて腰を抜かしました。アイゼンハワーの時代でさえ、他国に介入するときには美辞麗句を使って行動を正当化しました。オバマの演説は、「アメリカはやりたい放題をする」と宣言しているに等しい。あまりにも無礼で傲慢な態度です。アメリカは軍事的には強さをもっていますが、モラルの点では弱い。「腐っている」といってもいい。このような態度が一部の国を硬化させてしまったのは事実です。

アメリカの政治は軍事システムに強固に組み込まれています。共和党であれ、民主党であれ、この事実は変わりません。アメリカにリベラルな「緑の党」が育っていないことは、国民にとって非常に不幸だと思います。

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