日中接近の限界示す5分間の「立ち話」

両国首脳の初接触が急きょ実現

「指導者が顔を合わせるのは、握手をして写真を撮るためではない。日本が問題解決のための顔合わせを考えているなら、口先だけ、見せかけだけではなく、一歩を踏み出す必要がある」──。8月27日、中国外交部の李保東副部長(外務次官に相当)はそう語り、ロシア・サンクトペテルブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議での日中首脳会談の可能性を否定した。

それから1週間後の9月5日。首脳会議直前の控え室で、安倍晋三首相と習近平国家主席による5分間の「立ち話」が実現した。尖閣諸島の国有化後、日中首脳が言葉を交わしたのは初めてだ。1週間で何か大きな変化があったのだろうか。

兆候は見えていた。8月29日に大連を訪れた習主席は、地元の大手IT企業である東軟集団を視察した。東軟集団は東芝やNECとの合弁を持ち、伊藤忠商事とも提携するなど、日本企業との関係が深い。さらに習主席は、同社製の遠隔医療システムによって北京の中日友好医院と通話するなど、「日本」を強く意識したパフォーマンスを見せた。

立ち話の際にも、習主席は尖閣問題や歴史問題について原則論を伝える一方で、日本との「戦略的互恵関係」を推進したいとコメントした。「戦略的互恵関係」は2006年の第一次安倍政権発足時、日中関係の改善に向けて安倍首相が唱えたコンセプトだ。「あえてそれを使ったのは、安倍首相への配慮」(中国の日本研究者)といえる。

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